沖縄県八重瀬町の石垣深樹さんには、深夜欠かさず訪ねる場所がある。自宅近くに自身が建てたプレハブだ。飼い主に捨てられたり、野良猫として生まれたりした25匹の猫が暮らす。食事やトイレの世話に遊び相手。1日何度も往復する石垣さんは「猫が一番元気なのは夜中。その時に爪研ぎの場所を教え、一緒に遊んで人間に慣れてもらうんです」。帰って寝るのは午前5時ごろ。殺処分を少しでも減らそうと、午前10時には起き、飼い主探しなどに走り回る。元ダンサーだが、踊る暇はない。(中部報道部・平島夏実)

保護猫とたわむれる石垣深樹さん=17日、宜野湾市大謝名の保護猫カフェ「ヌーベルバーグ」

石垣深樹さんの毎日

保護猫とたわむれる石垣深樹さん=17日、宜野湾市大謝名の保護猫カフェ「ヌーベルバーグ」 石垣深樹さんの毎日

 東京都出身。多くの保護犬、保護猫に囲まれて育った。父も母も「目の前の命を見捨てられない性格」で、迷い犬・猫を見掛けると預かって飼い主を探し、必要な場合は不妊手術をした。

 家族8人そろって食事した記憶はない。犬猫が食卓に上がらないよう誰かが見張り「輪番制で食べてました」。手にガムテープを巻き、床に散る犬猫の毛を取るのは祖母の役目だった。

 そんな生活に誰も文句を言わなかったのは、家族みんな両親の考えに共感していたから、と石垣さん。「犬猫が自然界で暮らせば生態系を乱す。それなら人間と共存するしかないよね」。

 約10年前、沖縄に引っ越した両親を追う形で同町へ。2016年、一般社団法人動物愛護の会「アベニール」を設立し、月に約30匹を保護する。宜野湾市大謝名の保護猫カフェで飼い主を探したり、役場や獣医師と不妊手術の調整をしたり。その間にもプレハブで過ごす猫たちの世話に向かい、1日はあっという間だ。

 アベニールは、フランス語で「未来」を意味する。石垣さんは「人も動物も幸せに暮らせるといいな」と願う。