社説

社説[コロナワクチン接種] 自治体の裁量拡大せよ

2021年2月23日 07:53

 新型コロナウイルス対策の「切り札」とされるワクチン接種が、国内でも始まった。

 まずは医療関係者4万人への先行接種が進められている。県内の医療従事者向けには、3月1日の週に、初回接種のワクチン約8千人分が出荷されることが発表された。

 16歳以上の国民の多数に短期間でワクチンを接種する、という前例のないプロジェクトだ。1年余り続いているコロナウイルスの流行を収束させるための重要局面となる。

 ところが、現在のワクチン確保量と政府が描く接種計画の必要量の間に、桁違いの開きがあることが分かった。

 国内へワクチンを供給するファイザーの生産能力増強が5月以降になる影響が大きい。

 4月に一斉開始が見込まれていた高齢者への実施は、極めて限定的になる公算が大きくなった。計画の練り直しが迫られ、プロジェクトは序盤で足踏みを余儀なくされた。

 世界で新型コロナワクチンの争奪戦が続いており、やむを得ない面はある。ただ、供給見通しが不透明なままでは、実務を担う市町村が混乱しかねない。

 ファイザー製ワクチンは、超低温の管理が求められ、限られた期間内に使い切らなければならないなど制約が大きい。円滑な接種には自治体と医療機関などの連携が欠かせず、周到な準備が求められている。供給量が十分でない場合にどう配分するかなど、政府は丁寧に説明すべきだ。

 副反応をはじめとする先行接種で得られた情報も、詳細に示してほしい。

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 ここに来て、3週間の間隔を置いて2回の接種が必要とされるファイザー製ワクチンについて、1回に減らす案が突然浮上している。

 確かにイスラエルの研究チームが、1回の接種でも発症を85%減らす効果があるとの調査結果を発表している。

 総合調整を担う河野太郎行政改革担当相は「1回でも効果があり、日本でもそのやり方でいこうとなれば、打ち方は変わってくる」と言及し、対応を協議する考えを示した。自民党も党内で案の可否を検討するという。

 仮に接種回数を減らすことになればスケジュールの改善が見込まれる。

 とはいえ唐突感は否めない。国内では「1人2回接種」を前提に有効性が確認され、承認された経緯がある。安易な回数変更は、ワクチン接種への国民の信頼を損ね、逆に不安を与えかねない。慎重な対応が求められる。

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 県独自の緊急事態宣言は、予定通り28日で終了する見通しとなった。感染状況は改善傾向にあるものの、引き続き防止対策の徹底が求められている。

 県内でも自治体による模擬接種の訓練など準備が進む。だが、小規模離島の多い県内で、都市部と同じような方法では円滑な接種が難しい面がある。

 玉城デニー知事は、全国一律ではなく全住民の同時接種も含め市町村の裁量で柔軟に実施できるよう求めている。地域の実情に即した弾力的な対応を認めてもらいたい。

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