那覇市の「孔子廟(こうしびょう)」を巡る政教分離訴訟で、24日の最高裁大法廷判決は、市による公有地の無償提供を違憲とした。判決内容を分析すると、この施設の性質や無償提供となった経緯などを踏まえ、宗教性の強さを指摘している。各地の孔子廟は那覇市の施設より歴史や文化、観光的な側面が強いものが多く、「判決の影響は限定的ではないか」と受け止めている。

孔子廟への土地無償提供を巡る住民訴訟の判決が言い渡された最高裁大法廷=24日午後(代表撮影

 判決はまず、憲法の政教分離規定について、国家が宗教と一切関わってはいけないという意味ではないと説明。「信教の自由を確保する上で相当とされる限度を超えている場合は許されない」とし、2010年の最高裁判決で示された「施設の性格、無償提供の経緯や態様、一般人の評価を総合的に判断する」という基準を今回も採用した。

 那覇市の孔子廟については、孔子の像などが置かれ、家族繁栄や学業成就を祈願する人々が参拝しているとして「社寺との類似性」を判定。年1回の祭礼は、孔子の霊を迎えあがめ奉る儀式だとして宗教性を認めた。

 判決は、宗教的施設でも文化財の観光地化などがあれば、無償提供もあり得ると指摘。その上で経緯を振り返り、市は観光資源とも考えていた一方で、法令上の文化財として扱われている事情はうかがわれないなどと言及。さらに、免除されている土地使用料は年576万円と多額で「一般人から見て、市が特定の宗教に特別の便宜を提供していると評価されてもやむを得ない」と結論付けた。

 各地の孔子廟関係者は、この判決内容に胸をなで下ろした。

 現存する日本最古の学校とされる栃木県足利市の足利学校では、室町時代には孔子の教えである「儒学」や「易学」を教えており、学校事務所によると、孔子廟は1668年に建てられた。

 1921年には学校跡が国指定の史跡となり、現在は市が所有している。孔子廟は観光客に公開しているが、那覇市のような宗教的行事はない。立野公克所長は「歴史を学ぶ文化財という位置付け。宗教的な意味合いはなく、判決の影響はないと思う」と話した。

 国指定重要文化財「多久聖廟(せいびょう)」を抱える佐賀県多久市教育委員会の担当者も、判決の影響を否定する。建物は市の所有で、管理を公益財団法人に委託。20年度は管理費や法人の事業補助に計約1200万円を支出した。

 担当者は「聖廟は江戸時代、領民の教育目的に建てられた。供え物をして孔子を祭る年2回の行事も、伝統行事として行っている」とし、宗教性を否定した。