◆親川志奈子さん(沖縄大学非常勤講師)

 ハーバード大学ロースクールの「ミツビシ・プロフェッサー」との肩書を持つラムザイヤー氏が「慰安婦は自発的売春婦」だと主張する「論文」を出し、大問題となった。ざっと目を通したが、いわゆるネトウヨ本の英語バージョンといった体裁だった。

 そしてすぐ、今度は沖縄の貧困について扱ったものがあると聞き、世界のウチナーンチュに声を掛け皆で読んだ。「日本の被差別部落、在日コリアン、沖縄人がいかに下層階級たるか」と書いたひどいものだった。「アメリカでは人種を巡る議論は難しいので」日本の下層階級であるマイノリティーを取り扱ったという。

 例えば沖縄戦に関しては、歴史修正主義は採用せず日本兵による住民虐殺や強制集団死についても触れてあるが、その分析として「沖縄人はその恨みを忘れておらず、しかも死者を過大に主張し、日本政府から莫大(ばくだい)な補助金をせしめている」と述べ、「にも関わらず低所得で失業が多く、教育の程度が低く、離婚率が高く、婚外子が多いという社会的病理を抱える土地だ」という印象を与えていく。

 日本の植民地主義について意識的に排除し、在沖米軍基地問題を矮小(わいしょう)化させた上で、沖縄の貧困問題は沖縄の社会風土や沖縄人の能力や意欲の問題であるかのように論じている。同様に被差別部落や在日コリアンについても恣意(しい)的に統計を引用し彼ら自身の問題故に下層階級なのだとしてある。

 論文に対する批判とともに、なぜこのようなものがハーバード大学教授の「論文」として世に出たのかについて検証していきたい。