[沖縄の防災・共に考える][体験逃げてみた]※この記事は2014年1月11日と同年2月11日にに沖縄タイムス紙面に掲載されました。人物の年齢や説明の内容は掲載当時のものです。
避難体験の手順 避難は津波を想定。本番になるべく近い状態にするため体験日と大まかな時間帯だけ伝え、記者から抜き打ちで入る連絡を津波警報に見立て、避難開始。避難場所や経路、持ち物も避難者が自分で考えた。防災・福祉研究者の稲垣暁さんが後ろから観察し、体験後に課題を指摘した。(社会部・我那覇宗貴)
年長の園児 リード
東村有銘の園舎(海抜5メートル)→避難公園(39メートル)
有銘幼稚園

有銘湾から直線距離で約200メートル離れた場所にある東村立有銘幼稚園(海抜5メートル)。園児7人(5歳児3人、4歳児4人)と教師2人が参加した。園の前を流れる有銘川を避け、県道14号を通って500メートル離れた整備中の避難公園(海抜39メートル)に逃げた。
6日午後2時25分、園に連絡が入る。気温17度、時折小雨が降っていた。
午後2時26分、園児たちが上履きのままかっぱを着て、園庭に出てきた。みんな落ち着いていて年長の男子が年下の子をリードした。
2時30分、園を出発。園児は2人一組で2列になって歩く。狭い歩道になると、1列に変更。列の前後で先生が「頑張れ~」と絶えず声を掛ける。
2時34分、公園に続く上り坂に差し掛かると、息切れする子や先生も。
2時37分、公園に到着。連絡から12分が経過していた。
田中隆史園長(54)は「普段から散歩がてら避難経路を確認していて、有銘小中学校と
一緒に訓練もしている」と説明。園児の引き渡しも、避難場所ですることを保護者と取り決めている。稲垣さんは「避難に慣れている。とてもスムーズだった」と感心していた。
引率した金城初江教諭(59)は、避難体験が雨天決行と聞き、かっぱを急いで用意した。「どんなときでも避難できる準備は必要だと思った」と振り返った。
3月には、校舎の裏手に公園への近道になる階段が架けられる。稲垣さんは「災害時には階段に人が殺到するし、壊れて使えなくなる可能性もある。今の避難経路と一緒に、階段を使った避難訓練を繰り返した方がいい」とアドバイス。
避難公園は野外であることから、テントや防災用具を収納する防災倉庫を設けて、野営ができるようにしておくことも提案した。