夫婦が希望すればそれぞれ結婚前の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓制度」の議論が後退しないか気掛かりだ。

 自民党の国会議員有志50人が、制度への反対を呼び掛ける文書を地方議員に送っていたことが分かった。

 文書は1月30日付。驚いたことに男女共同参画担当相就任前ではあるものの丸川珠代氏も名を連ねていた。

 丸川氏は3日の参院予算委員会で、個人として反対意見を持っていることを認めた。「家族の根幹に関わると思った」と理由を説明した。一方で「大臣として反対したことはない」とも述べた。

 男女共同参画担当相は、政府におけるジェンダー平等の旗振り役である。男女格差の解消に向け、担当相の役割は重要性を増している。

 結婚後も働き続ける女性が増え、選択的夫婦別姓制度を求める声は高まっている。その中で、なぜ反対の意見を持つ丸川氏が担当相に就いたのか、ジェンダー平等に矛盾してはいないか、制度を議論する環境を整備できるのか、など疑問の声は当然だ。

 丸川氏は自身の考えを丁寧に説明する必要がある。にもかかわらず予算委では反対の理由を繰り返し問われても「大臣として答弁に立っており、個人の意見を申し述べる場ではない」と当初は回答を拒否した。政治家としての説明責任から逃げているように映る。

 菅義偉首相は、文書への参加は閣僚としての任命に影響しないと明言した。担当相の役割を軽んじてはいないか。

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 丸川氏らが名を連ねた文書は、選択的夫婦別姓制度に賛同する意見書を採択しないよう訴える内容だ。47都道府県議会議長のうち自民党所属の約40人に送られた。

 意見書を採択するかどうかは、それぞれの議会が議論して決めるものだ。50人の国会議員が連名の文書で一方的に不採択を求めるのは圧力に等しく、地方議会の独立性を脅かしかねない。

 文書は、夫婦別姓制度を「家族単位の社会制度の崩壊を招く可能性がある」などとしている。

 昨年末に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画を巡る議論でも、伝統的な家族観を重んじる自民党の反対派から同様の意見が出た。そのため「夫婦別氏(姓)」の文言自体が削られた経緯がある。

 一方で政府が行ったパブリックコメント(意見公募)には、導入を求める意見が約400件寄せられた。この声こそ真(しん)摯(し)に受け止めるべきだ。

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 選択的夫婦別姓は県議会の2月定例会一般質問でも取り上げられた。

 答弁した名渡山晶子子ども生活福祉部長は「全国的な調査や司法の判断なども踏まえ、国民的議論がなされていくものと考えている」と述べるにとどまった。県としての姿勢を示さなかったのは残念だ。

 玉城デニー知事は、ジェンダー平等の実現に賛同し「Woman(うーまん)ちゅ応援宣言」を発表した。選択的夫婦別姓は社会の要請である。その声に耳を傾けて地方から実現を後押ししてほしい。