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コロナ「切り札」ワクチン接種が沖縄でスタート 医療現場、どう動いた?

2021年3月6日 10:22

 新型コロナウイルス対策の「切り札」とされるワクチンの優先接種が5日、県内の医療機関で始まった。未知のウイルスに苦戦を続けた1年を経て「武器を手に入れた」医療現場。住民接種へとつながる一歩を踏み出した県内2病院の動きを追った。

新型コロナウイルスワクチン接種後、体調不良を訴えた場合に備えて、対処法を話し合うスタッフら=5日午後2時17分、名護市大中・県立北部病院(国吉聡志撮影)

県内のワクチン接種の流れ

新型コロナウイルスワクチン接種量のイメージ

新型コロナウイルスワクチン接種後、体調不良を訴えた場合に備えて、対処法を話し合うスタッフら=5日午後2時17分、名護市大中・県立北部病院(国吉聡志撮影) 県内のワクチン接種の流れ 新型コロナウイルスワクチン接種量のイメージ

 県内初めての接種は、名護市の県立北部病院だった。午前8時50分、夜勤明けの職員4人に接種。午後には全体への接種が始まった。開始予定10分前の午後1時20分ごろ。医師や看護師、作業療法士らが予診票を手に、2階会議室近くの受け付けで待った。

 午後1時28分、「始めましょう」の声が響いた。接種コーナーの3台あるテーブルの右端に、研修医の伊藝真樹医師が硬い表情で着席。看護師が注射針を左肩に打つ時間はほんの数秒だった。伊藝医師は立ち上がると頬を緩め、「安心が加わって治療に向き合える」。見守った久貝忠男院長も「感染管理が最も大切だが、防戦一方のこれまでと違い、武器を手に入れた」と期待を込めた。

 問診から接種までの所要時間は1人につき1分半。開始から24分後の午後1時52分、予定した20人が接種を終えた。

 すぐに医師や看護師、薬剤師ら約20人がミーティング。「鼻水が出ている人への対応に迷った」「妊婦が来たらどうする」「予診票を忘れた人への対応は」。事務対応や接種可否の見極めなど課題を洗い出した。

 最も時間をかけたのは、接種後の体調不良への対応だ。今後の高齢者接種を見据え、誰がどう動き、並行して接種を続けるにはどうしたらいいか。医師が体調不良者となり、担架搬送を再現。酸素投与して救急室に運ぶ動きを確かめた。

 午後2時50分ごろ、作業終了。総合診療科の篠原正樹医師は「問題点が多く挙がり、解決策を議論できた。反省点を踏まえ準備したい」と力を込めた。

 午後4時。県内2番目となる接種が琉大病院で始まった。ワクチン1瓶から6人に打てる特殊な注射器を独自に入手。報道陣のカメラが向く中、県医師会の安里哲好会長、同院の大屋祐輔病院長を皮切りに新型コロナ治療に当たる医師や看護師ら12人が接種した。

 大屋病院長は「私が最初に打つべきか、疑問はあった」と打ち明け、「接種が不安な医療者もいる。私が実験台になるつもり」。同院は3月後半の6日間で千人余に打つ計画。「いかに短時間で多くの人に打てるか考えたい」と話した。

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