3月8日は「国際女性デー」。男性中心の社会に一石を投じ、女性をはじめ誰もが生きやすい社会を目指そうと、各メディアは毎年のようにキャンペーンを展開する。一方、そんなメディアもまだまだ男性中心の業界だ。新聞労連によると2019年4月1日現在、全国38新聞社の女性従業員の割合は19・9%で、女性管理職の割合は7・7%にとどまる。役員となると38社319人中、女性は10人だ。沖縄タイムス社は2月16日現在、女性社員の割合22・8%、うち管理職13・3%。多様性を重んじる社会の実現には何が必要なのか。沖縄タイムス編集局の女性管理職8人が、さまざまな分野で活躍する女性たちを訪ねた。

沖縄県経営者協会女性リーダー部会長・富原加奈子さん

 女性が働く環境は、低賃金や不安定雇用など非正規問題が大きい。りゅうせき商事(当時)の社長時代に、ほぼ全従業員の正社員化を成し遂げた富原加奈子さん(64)。3年前、それを伝える小さな記事を目にしたときの驚きと感激は今も覚えている。背景を伺った。

インタビューに応じる元りゅうせき商事社長の富原加奈子さん=2月17日午前、那覇市久茂地・沖縄タイムス社

■正社員化を断る女性たち

 ────りゅうせき商事は携帯電話端末の販売店やフィットネスクラブなどを抱えていました。小売り、サービス業界は非正規雇用が多いと思いますが、なぜ正社員化に取り組んだのでしょうか。

 「正社員化の道は以前からありましたが、登用試験を受ける契約社員やパートの方が少なかったのです。正社員になると年収は増えますが、残業は増え土日は休めなくなり、責任も重くなりますから。女性は正社員化を断るといわれていましたが、子どもを抱え、こうした懸念を持っていました。働き方改革をすることで、正社員化が進みました。会社としても人手不足だったので、定着させて実績をつくる必要がありました」

 ────正社員化を喜ぶのかと思ったら、そう単純ではないのですね。一方で、正社員が増えると人件費も増えます。

 「300人余りが働いていました。経営側からすれば正社員化を進めるのは怖い面もあります。残業時間を単純計算したら年間1億円近くになるので、その分を(正社員化のコストに)充てると考えました。ちょうど携帯電話端末の売れ行きが良く、正社員化で売り上げが伸びて残業は減り、利益率は上がりました。ほかにもファイリングや、年休取得率向上や5連休の取得なども約束ごとにして、小グループの対話集会でガラス張りの数字を見せて目標と方針を示しました。そうしたら、正社員としてやっていけそうだと思うようになったようです」

 ────社長だけが見る全社員アンケートをやったのは、なぜでしょうか。

 「残業を減らしましょうと言ったら、店長が『おまえ、残業付けるなよ』と言ったりするわけです。こっちは本気で言っているのに、店舗の成績が悪くなると思っているんですね。だから直接話し合いながら、何度も繰り返し言わないと伝わらない。社員それぞれが一生懸命働いていますので、私が努力する余地はどこにあるのか、と考えてアンケートを取りました」

 ────女性の正社員化は掛け声だけではなく、働き方改革やファイリングの導入などさまざまな改革が合わさってできたのですね。

 「たとえば女性のためにと育休を2、3年に延ばしても明けて出てきたら、長時間労働が待っているとか、資格取得についてもこれは女性には難しいからやらせない“親切心”とか、一生懸命、女性を登用しようとしているのですが、方向性がちょっと違うなと思うところがあります。長時間労働の美徳、質より量が基準になっているような、いわゆる『昭和』の考え方です。属人化をやめてマニュアル化して休みを取りやすくしたり、どこに何があるか誰でも分かるファイリングをしたりしたのも働き方改革の一環です。昭和的な働き方を変えないと会社は成長しないのではないでしょうか」

 ────新しいことへのチャレンジ精神は男性より女性のほうがより高い印象があります。

 「女性は変わろうと思ったらパッと変わりますね。適応能力は高いです。ICT(情報通信技術)の活用は女性のイメージはないかもしれませんが、抵抗がなく柔軟です。変化適応力が高いのは、そうしないと子どもは言うことを聞かないから。子育ての経験からきているかもしれません」