沖縄と原発

「核の平和利用」プロパガンダ強化を迫られた米軍 住民に“夢”を見せる狙い

2021年3月7日 07:00有料

[沖縄と原発](2)

 沖縄に原発はない。しかし、最大約1300発の核兵器があった。

 米国が反核感情を和らげるため世界中に振りまいた「核の平和利用」という夢物語。その具体化である原発の計画は、核基地沖縄でこそ強く必要とされた。

 1956年、米議会が公表したプライス勧告は、「米国が核兵器を貯蔵し使用する権利に外国の干渉を受けない」と沖縄の「利点」を強調した。勧告が米軍による土地の強制接収問題を収拾しようとしたのも、沖縄の長期保有が狙いだった。そして「関係ないことではあるが」と断って原発導入を提案した。

 関係は、もちろんあった。東京経済大学非常勤講師の徳田匡氏(歴史社会学)は「核の平和利用という言葉を軍事利用した」と表現する。

 プライス下院議員らの調査団が沖縄を訪れていた55年10月、ちょうど宜野座村で、核砲弾を搭載できる「原子砲」の初めての試射があった。松田小学校から100メートルほどの至近距離。衝撃で校舎の窓ガラスが割れて児童4人が負傷し、校長は「授業も全然できません」と議員らに直訴した。

 現地米軍はプロパガンダ強化を迫られる。住民に配布していた広報誌「今日の琉球」「守礼の光」にはこの時期、核の平和利用の宣伝記事が多く登場する。...

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