[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1250)

 いま、シニア世代の低栄養が大きな問題です。日本は食糧も豊かなのに、なぜ?と思う方もいるかもしれません。シニア世代では、転倒し、骨折したり、疾患で入院する危険性のある状態の「フレイル」や、筋肉が減少し、歩行や日常生活に支障をきたす「サルコペニア」に注意が必要で、その原因のひとつが低栄養だからです。

 2019年の国民健康・栄養調査では、65歳以上で低栄養傾向の人の割合は、男性12・4%(8人に1人)、女性20・7%(5人に1人)でした。日本は、欧米はもとより、中国などのアジア諸国と比較しても、低体重の方が多いという世界保健機関(WHO)の調査結果もあります。

 低栄養は、免疫力低下の原因にもなります。低栄養では、血液中のリンパ球の数が減少し、さまざまな細菌、ウイルスによる感染症のリスクが増大します。また、血液中のタンパク質が減少している人は、インフルエンザワクチン接種後の抗体保有率が低下したり、インフルエンザを発症した場合、死亡のリスクが高いという報告もあります。

 普通に食事を取っている方でも、低栄養の危険性があります。年齢が上がると、タンパク質の利用率が低下します。「同化抵抗性」と呼んでいます。ぜひ一度、ご自分が低栄養でないか、確認してみください。シニア世代の低栄養を評価するために開発されたのが「MNA(簡易状態栄養調査表)」です。スマーフォンでも確認できます。

 リハビリテーションにも栄養は大切です。私は、院内で医師として働くほか、栄養サポートチームという活動を行っています。栄養をしっかり取ってもらい、からだの状態を良くし、退院までに、患者さんをできるだけ元気にして、よりよいリハビリテーションの効果を目指しています。適切なエネルギー、タンパク質を摂取していただくことが大切ですが、基礎疾患のある患者さんには、特別の配慮が必要です。これからも、低栄養やフレイル、サルコペニアを防ぐ活動を続けていきたいと思います。(吉田貞夫 ちゅうざん病院=沖縄市)

=第2・第4木曜日掲載