沖縄タイムス+プラス ニュース

涙を拭い、手を合わせた沖縄への避難者 あれから10年「犠牲者を忘れず」

2021年3月12日 07:13

 未曽有の被害をもたらした東日本大震災から10年を迎えた11日、県内では被災地から避難した人々が集まった。「なぜ、これだけ多くの人が犠牲になったのか」。時間が経過しても、被災者の脳裏には当時の惨状が焼き付いたまま。誰にも同じ思いをしてほしくない、震災を風化させず命の尊さを考えてほしい-。発生時刻の午後2時46分、涙を拭い、手を合わせた。

東日本大震災が発生した午後2時46分に合わせ、手を合わせる参加者ら=11日、糸満市・長谷寺

 震災や福島第1原発事故後に県内へ避難した人らでつくる「沖縄じゃんがら会」は、糸満市の長谷寺で「3・11 心の相談会」を開いた。避難者ら約20人が参加。弦楽四重奏で被災地の民謡も生演奏された。

 仙台市から避難した清水理恵さん(58)=那覇市=の自宅は津波で流された。「亡くなった人を思うと、生きていて本当に申し訳ないなって…」と言葉を詰まらせた。3月は日本中で命の尊さや災害について語り合い、「備え」の重要性を考えるべきだと訴える。

 福島県南相馬市から避難した大橋文之さん(62)=糸満市=は、福島第1原発の敷地内で防水工事中に被災した。親族も地元を離れ、10年間で当時のコミュニティーはなくなった。もう戻ろうとは思わない。「それでも、私の故郷はずっと心の中にある。沖縄でこれからを生きていく」

 演奏者の一人、在沖宮城県人会「沖縄萩の会」の上原玲子副会長は「地元の知人は今も海を見られない。今年2月の余震でも『また10年前の生活が続くのか』と不安がっていた。10年は何の区切りでもない」。沖縄にいてできることは風化させない取り組みだと語った。

 あの日から10年。じゃんがら会の桜井野亜代表は「犠牲者を忘れず、震災の経験を生かしていくことが大切だ」と力を込めた。

連載・コラム
記事を検索