日米両政府が米軍普天間飛行場の「5~7年以内」の返還に合意してから、来月で25年になる。

 国策に翻弄(ほんろう)され続けた四半世紀だった。

 当初、基地内に代替施設を建設する予定だったが、さまざまな利害が入り乱れ、計画はころころ変わった。

 辺野古の豊かな海を埋め立て、軍港機能を備えた新基地を建設するという今の計画に変更されたのは、県や県民よりも米軍の意向を優先した結果である。

 軟弱地盤の存在が明らかになったことで、現行計画も大幅な変更を余儀なくされる。

 当初3500億円とされていた工費は9300億円に膨れ上がった。さらに膨らむ可能性が高い。

 十分な説明もないまま、警備費が膨張し続け、土砂単価が跳ね上がり、入札を経ない契約変更によって工事費が増額された。

 返還時期も「2022年度またはその後」から30年代に大幅にずれ込んだ。あと15年かかる、という指摘もあるが、実際のところ返還のめどはまったく立っていない。

 それなのに政府は、いまだに「一日も早い危険性の除去」と、実質の伴わない空念仏を繰り返している。

 沖縄戦の激戦地、本島南部の土砂を辺野古の埋め立てに利用するという計画も明らかになった。

 県民感情への配慮を欠いたおぞましい計画が、「沖縄に寄り添う」と語る菅義偉首相の下で進められているのである。政治の堕落と言うしかない。

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 辺野古新基地を含む沖縄の基地問題は今、大きな曲がり角に差し掛かっている。

 バイデン米大統領は外交方針演説で、世界各国に展開する米軍の配置態勢の見直しに着手すると表明した。

 中国やロシアに対抗するため、日本、韓国、オーストラリアなど同盟国との連携を強めていく考えだ。

 米インド太平洋軍は沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に射程500キロ以上の地上配備型ミサイル網を築く計画を明らかにした。

 負担軽減に逆行する動きが表面化しつつあるが、その一方、来年は復帰50年の節目の年に当たり、負担軽減の内実が問われる年でもある。

 今年の衆院選に続いて来年秋には、県知事選も実施される。

 辺野古の行く末が、今年から来年にかけて表面化する政治動向に大きく左右されるのは確実だ。

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 玉城デニー知事は政府に「対話」を求める一方、「当面は米軍専用施設の50%以下を目指す」ことを明らかにしている。

 「対話」を求める姿勢は支持するとしても、今、必要なのは、具体的に何をどうしたいのか、が伝わるような明確なメッセージである。

 もっと具体的でインパクトのある主張をぶつけなければ、沖縄の基地問題を全国の問題として焦点化するのは難しい。

 政策転換を促す機会はこの時期をおいてほかにない、との覚悟と決意が必要だ。