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船内で感染が確認されたらどうなる? クルーズ船の寄港 受け入れのめど立たず

2021年3月17日 07:56

 国内のクルーズ船を受け入れるための体制を話し合う沖縄県や港湾、医療、観光関係機関などでつくる地域協議会は16日、那覇・南部と中部地域で会合をそれぞれ開いた。新型コロナウイルスの感染者確認時の連絡体制や役割分担、船社に求める条件などを検討したが、医療や搬送体制が十分に整わない中での受け入れ開始は困難との意見が多数を占めた。各団体の合意形成に至らなかったことから、4月以降の受け入れのめどは立っていない。

クルーズ船の受け入れに向けて、連絡体制やクルーズ船に求める条件などを話し合う関係機関の代表者ら=16日、那覇港管理組合

那覇港でのクルーズ船受け入れのイメージ

クルーズ船の受け入れに向けて、連絡体制やクルーズ船に求める条件などを話し合う関係機関の代表者ら=16日、那覇港管理組合 那覇港でのクルーズ船受け入れのイメージ

■難しい合意形成 キャンセルも

 港湾関係者や保健所や消防などの医療、搬送、観光関係者などが参加した。国が昨年9月に公表した中間取りまとめでは、クルーズ船と湾港管理者にそれぞれ感染防止ガイドラインの整備を求めている。船内で感染が確認された場合、受け入れは地域の医療状況などにも左右されるため、事前に関係機関の合意形成や迅速・適切な対応に向けた事前調整なども求められる。

 那覇・南部地域の協議会では、事務局の那覇港管理組合が、各団体から事前の聞き取りを基に作った受け入れ素案などを示して議論した。

 同組合によると、今月11日時点で、4月以降の国内クルーズ船の入港予約は11件。ただ、受け入れの合意形成が難しいことから、船社は4月の6回分をキャンセルし、6月寄港を検討しているという。

 クルーズ船内で感染者が確認され、県内が最終港であれば、船内全ての感染者を地域の医療機関で受け入れなければいけない可能性がある。出席者からは「議論を重ねないと、6月までの合意も大変厳しい」と慎重な意見が相次いだ。

 提示された初動や連絡体制案にも、質問や精査を求める声が上がった。那覇市消防局は「通常の救急移送もある。緊急性があれば対応するが、その場合は台数に限りがあり近隣消防の応援も必要だ。事前調整はどこがやるのか、万全な体制を示してほしい」と要望した。

 中部地域の協議会では、海上保安部が「患者の容体に関する情報は、どこで一元化するのか」と指摘。事務局の県は「現時点では、そこまで詳細に詰められていない」とし、今後の協議会で議論したい考えを示した。

■感染者確認後の対応や具体的な課題とは

 協議会では、クルーズ船での感染者確認後の対応や具体的な課題が明らかになった。

 受け入れ体制の素案では、那覇港に向かう海上や那覇港寄港中に船内で感染者が出た場合、船医による検査で感染を確認した上で、まず保健所へ連絡する。同時に船社は海上保安庁や海事局、那覇港管理組合にも連絡。那覇港が寄港地であれば、県内の感染状況や医療機関の逼(ひっ)迫(ぱく)状況などを考慮し、県の総括情報部が受け入れ可否を判断する流れだ。

 県総括情報部は入院や移送を保健所などと調整。必要があれば保健所は消防などへ移送の協力を求める。感染者の船上からの搬送は、緊急性があれば海上保安庁へ協力を依頼することもある。

 一方で、クルーズ船が連絡する関係機関が多すぎて、船への事実確認や連絡が遅くなる懸念がある。協議会では、受け入れ側の連絡窓口をなるべく一本化する必要性が指摘された。また、海上で確認された場合は届け出る保健所が、どこの保健所なのか、管轄の確認やクルーズ船との事前の共有なども求められる。

 島しょ県の沖縄は、クルーズ船が寄港する主要港は離島を含め5つあり、地域の実情に基づきながら、港間の連携も重要になる。

 協議会は、関係者との事前調整や受け入れ体制の構築が整った後、訓練も予定する。訓練で得た課題を改善しながら、クルーズ船へも受け入れに求める条件を提示するため、受け入れ再開には、時間がかかる見通しだ。

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