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ワクチン効果弱める変異株E484K 沖縄で6人が初検出 国の監視対象外 強弱不明

2021年3月17日 07:34

 新型コロナウイルスの変異株を巡り、沖縄県内で「E484K」と呼ばれる変異株の確認が相次いでいる。従来株より感染力が強いとされる変異株「N501Y」とは違い、ワクチンの効果を弱める恐れが指摘されるが、感染力や致死率などは不透明。国は監視対象にしておらず、県も公表方法など対応を決めかねている。(社会部・下地由実子、篠原知恵)

新型コロナウイルスの感染と変異の仕組み

変異株のアミノ酸配列の変化(国内で確認されたもの)

新型コロナウイルスの感染と変異の仕組み 変異株のアミノ酸配列の変化(国内で確認されたもの)

 現在、厚労省が最も警戒している変異株は、感染力が強まる恐れのある「N501Y」変異を持つ「英国型」「ブラジル型」「南アフリカ型」の三つの型。ブラジル型と南ア型は「E484K」変異も併せ持つ。

 県は11日、N501Y変異の英国型などと同時に、6人からN501Yの変異はないが「E484K」変異を持つタイプ(「E484K」変異株)が県内で初めて検出されたと発表した。12日までにさらに少なくとも2人を確認し、ある医療関係者は「県内で広がっていると考えられる」と話す。

 だが県民へどう周知するかは定まっていない。県は「英国型」などについては確認のたびに公表するとしているが、「E484K」変異株を確認した際の対応は未定で、12日に確認された追加2人分の正式発表もまだだ。県幹部は「国が方針を示さず、都道府県で対応も違う」と頭を抱える。

■ワクチンの効果

 新型コロナウイルスの外側には、ヒトの細胞に付着し感染の足場となるスパイクタンパク質という突起がある。E484Kはその484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リシン)に変わったことを意味する。その結果、ウイルスにふたをして感染を防ぐ「抗体(ワクチン)」がウイルスに付着しづらくなり、ワクチンの効果が薄れると考えられている。

 起源は海外とされるが詳細は不明で、世界保健機関(WHO)は英国型など三つの「懸念される」型とは区別し「注目すべき対象」との分類にとどめている。

■公表求める声も

 専門家の間でも、評価は定まっていない。県立中部病院感染症内科の高山義浩医師は「専門家の注視が必要だが、今すぐ対策を強化する対象とは考えられない」とし、ワクチンの効果は「減っても、完全に失われることはない」との見解だ。E484Kは、常に生じているウイルスの変異の一つにすぎず、逐一の公表は必要ないとしている。

 一方、栃木県内のクリニックと共同で新型コロナウイルスの遺伝子を分析する国立遺伝学研究所(静岡県)の川上浩一教授は「感染力や重症化はまだ不明だが、従来型と置き換わりつつあり、感染力も強い可能性がある」と懸念する。「モニタリングで把握し、警戒するに越したことはない」と強調し、検出時は公表すべきだとした。

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