当事者が声を上げた画期的な訴訟で、時代の変化を踏まえた画期的な判断が示された。

 国が同性同士の結婚を認めないのは憲法に違反するとして、北海道に住む同性カップル3組が訴えた裁判で、札幌地裁は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると認定した。

 全国5地裁で争われている同様の訴訟では、初の判決となる。

 注目したいのは、武部知子裁判長が判決理由で指摘したこの言葉だ。

 「性的指向は自らの意思にかかわらず決定される個人の性質で、性別や人種などと同様」

 「同性愛者が婚姻によって生じる法的効果の一部すら受けられないのは立法府の裁量権を超え、差別に当たる」

 性的指向は本人が選んだり、決めたり、変えたりできるものではないと踏み込み、一人一人の性の在り方を尊重する姿勢を強く打ち出した内容といえる。多様性を認め合う社会の要請にも沿うものだ。

 判決は「差別」という言葉を使い、性的少数者(LGBT)の権利保護にも触れる。

 愛する人と家族になって生きていく権利は誰にとっても重要だ。にもかかわらず同性婚が認められていないため、法定相続人になれなかったり、緊急手術の署名ができないなどの不利益は、人としての尊厳にもかかわる深刻な問題である。

 家族の在り方が多様化する中、国は判決を重く受け止め、法制化を含めた議論を急がなければならない。

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 違憲判断を後押ししたのは、性的少数者に対する社会の意識の変化や、同性カップルを異性間と同じように受け入れようとする自治体や企業の動きだ。

 電通ダイバーシティ・ラボが2019年に発表した6万人アンケートでは、11人に1人がLGBTに該当した。同性婚に賛成する人の割合も8割近くに上った。

 LGBTのカップルを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ制度」も約80自治体で導入されるなど広がりを見せている。

 消極姿勢の政府に代わって、住民により近い自治体が、差別を解消し、生きづらさを取り除こうと工夫を凝らしているのだ。

 ただ法的効力を持たないパートナーシップ制度に限界があるのも事実だ。制度の有無による地域差も生じている。

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 日本政府は同性婚について「慎重な検討を要する」との立場で、導入への議論は進んでいない。

 政府が同性カップルに結婚という法的地位を与えないことと、自民党内で繰り返されるLGBTへの差別的言動は無関係には思えない。

 先進7カ国では米国、英国、ドイツ、フランス、カナダで同性婚が認められている。

 判決が指摘するように同性カップルへの理解は広がっている。

 人権という観点から、もはや無視できない問題である。ボールは立法府に投げられた。