テレビが在日コリアンや沖縄に対するデマとヘイトを拡散した責任を問う訴訟の法廷で、またしてもデマとヘイトが飛び交った。17日、東京地裁であった「ニュース女子」名誉毀損(きそん)訴訟の証人尋問で、被告DHCテレビジョン側の証人が「高江に住んでいる半数以上が基地建設が決定してから住んだ」と事実に反する発言をした。

尋問後の記者会見で辛淑玉氏側が示した番組の台本。「基地反対活動を行う中国人はわかるが、韓国人の真の狙いとは?」などの文言がある=17日、都内

 証言したのはDHCテレビから番組制作を請け負う制作会社ボーイズ執行役員でプロデューサーの一色啓人氏。聞いた話として紹介し、「びっくりした」と語った。

 本紙が東村高江区の仲嶺久美子区長に事実関係を確認したところ、番組制作当時の2016~17年ごろは住民が約120人、そのうちヘリパッド建設が決まってから移住した人は4分の1程度だったという。抗議行動のための移住かどうかも確認できていない。

 一色氏はまた、抗議行動に対する批判を取材しようとしても「現地の方は口を閉ざしてしまうのが現状」「何も言えない、高江でも沖縄全体でも」と発言した。

 尋問では、番組の台本が取り上げられた。「基地反対活動を行う中国人はわかるが、韓国人の真の狙いとは?」などと記されている。一色氏は「中国は敵国関係だから」との認識を示し、抗議行動の現場などにハングル文字の訴えがあるとして「韓国に向けてのPRなのか」と述べた。

 番組で「韓国人はいるわ中国人はいるわ」「反対運動を扇動する黒幕の正体は?」などと表現し、抗議行動が外国勢力によって操作されているかのような印象を与えたことを改めて裏書きする証言内容だった。証言後の本紙の取材に、一色氏は答えなかった。

 DHCテレビ側弁護士は、原告で在日コリアン3世の辛淑玉(シンスゴ)氏に対して「母国である韓国では基地反対運動をしないのか」と質問した。ヘイトスピーチの典型である「母国に帰れ」に通じる論理であり、日本で生まれ育った2世以降の人々にとって「母国」は自明でないことも多い。植民地支配の歴史的経緯を無視した質問は辛氏側弁護士の異議で撤回された。