2017年に地上波で放送されたテレビ番組「ニュース女子」で名誉を傷つけられたとして、市民団体「のりこえねっと」共同代表の辛(シン)淑(ス)玉(ゴ)氏が制作会社DHCテレビジョンと司会の長谷川幸洋氏に計1100万円の損害賠償などを求めた訴訟の本人、証人尋問が17日、東京地裁であった。【ニュース女子プロデューサー、裁判でも事実に反する発言】

証人尋問を終え、記者会見する辛淑玉氏=17日、都内

 17年1月に東京MXテレビで放映された番組は東村高江のヘリパッド建設に対する抗議行動を「武闘派集団」「テロリスト」などと表現。辛氏を名指しし、「反対運動を扇動する黒幕の正体は?」とテロップを付けた。

 辛氏は尋問で、ネット上の個人攻撃が地上波で取り上げられ「一線を越えたと思った」と語った。「辛淑玉氏等在日朝鮮人による反日反米工作を糾弾する国民集会」に国会議員が参加。嫌がらせも増え、一時ドイツに生活拠点を移さざるを得なかったと説明した。

 「私自身の名誉を毀損(きそん)し、人生を懸けて戦争に反対する沖縄の人を笑いながら侮辱した。黙っていたらずっと続くだろうと思った」と提訴の理由を述べた。

 長谷川氏は番組では司会を務めただけで誹謗(ひぼう)中傷はしておらず、辛氏側が問題視する発言は他の共演者のものだと説明した。「言論や報道の自由を脅かす乱訴だ」と批判した。

 DHCテレビから番組制作を受託する制作会社ボーイズのプロデューサー一色啓人氏は「黒幕」というテロップは辛氏を指したものではなく、「誰か分からないから黒幕と表現した」と主張した。長谷川氏と同様に「裁判はメディアを萎縮させるもの」と指摘した。

 訴訟は次回6月9日に結審する見通し。

 番組は放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が倫理違反を、放送人権委員会が名誉毀損を認定している。