JAおきなわ(普天間朝重理事長)が競りで購入した子牛を出荷まで育てる沖縄本島内の肥育事業から撤退する方針であることが18日、分かった。コロナ禍で枝肉の販売価格が低迷し、赤字幅が拡大しているため、収支を改善するのが目的。去年10月から子牛の搬入を止めており、全ての牛の出荷が終わり次第、本島内の3施設を農業生産法人に譲渡する。肥育事業は子牛価格が安定するよう買い支える機能を果たしており、繁殖農家は「子牛価格の下落やブランド牛の頭数減少につながるのではないか」と懸念している。

JAおきなわが撤退する方針を固めた今帰仁肥育センター=18日、今帰仁村

 JAが管理する肥育施設は県内に7カ所ある。そのうち、今帰仁肥育センター、玉城農場、東風平肥育農場の3カ所は譲渡先を探している。東肥育センターは所有者へ返却する。この4施設では月に約60頭ほどの子牛を導入していたが、半年前から止めている。

 離島の八重山肥育センター、宮古肥育センター、伊江肥育センターの3施設はブランド牛の「石垣牛」や「宮古牛」の維持のためなどを理由に撤退する予定はない。

 近年子牛の平均取引価格は高価格で推移しているが、枝肉価格は低迷していて、2019年度は3千万円、20年度(4~9月)は半年間で1億円の赤字となった。

 昨年11月ごろからこれ以上、赤字を広げることは経営的に厳しいと、撤退の話が上がっていた。

 JAの担当者は「肉用牛の農業生産額は年々上がっているため、畜産振興の基盤は作れたという認識。県全体の畜産振興に貢献できる民間に引き継いでほしい」と話した。

 一方、突然の撤退方針に農家からは不安の声が上がる。南部の繁殖農家は「これまでJA側が子牛を購入することで市場での競り価格が安定している面もあったため、子牛価格の下落が懸念される」と嘆いた。

 JAは肥育事業の赤字を信用事業で穴埋めしてきたが、日銀のマイナス金利政策で信用事業の収益が大幅に落ち込んでいる。支店の統廃合などの経営合理化を進めており、農業経営事業でも収支改善を図ることを決めた。