JAおきなわが沖縄本島内の肥育事業を撤退する方針を決めた一方で、譲渡先のめどはいまだに立っていない。JAは子牛の価格が大幅に下落した際に、取引価格を下げ止まりさせる役割を新たな譲渡先に求めていることから、農家からは「営利を目的とする農業生産法人は引き取るはずはない」と冷ややかな声も聞かれる。

子牛の初競りの様子=2021年1月16日、今帰仁家畜市場

 JAは県の補助金を受けて1978年ごろから、施設の運用を始めている。当時の子牛の取引価格は10万~20万円と安く、繁殖農家が育てても利益が少なかった。そのため、JAが買い支えて価格の大幅な落ち込みを押さえてきた。

 市場で購入した子牛を肥育して枝肉市場で販売することでJAは黒字を確保してきたが、10年ほど前からは子牛価格の高騰で赤字に転落。さらにコロナによる外出控えで枝肉価格が低迷したことで、赤字幅がさらに膨らんだ。

 JAは事業の収支改善は厳しいと判断。施設の新たな引き取り先を探している。だが、譲渡対象の3施設は、数百頭を肥育できる大きさ。小規模農家が多い県内では引き取り手がほとんどいない状況だ。さらにこれまでJAが果たしてきた買い支えの機能も農家に求めていることから、ハードルが高くなっている。JAの担当者は「経営改善をしなければいけない中でこれ以上の赤字を増やすことはできない。農家との交渉を進めて、早く引き取り手を見つけたい」と話す。

 ある農家は「肥育事業から撤退するのであれば、子牛の取引価格が下落しないように何らかの措置を考えるべきだ」と求める。繁殖農家は事業撤退の方針をまったく知らないとして、JAに説明会を開催するよう注文した。