軍事的にも経済的にも影響力を強める中国と、どう向き合っていくか。

 当面する最も重要な外交課題に対し、バイデン米政権は「同盟国との連携を強化し、中国に対抗する」という姿勢を鮮明に打ち出した。

 日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)は、共同文書で「他者に対する威圧や安定を損なう行動に反対する」と宣言、中国を名指しで批判した。極めて異例である。

 尖閣諸島における中国海警局の活動や、香港、新疆ウイグル自治区の人権状況を念頭に置いた指摘だ。

 中国海警局に武器使用を認めた海警法については「深刻な懸念」と表明。「日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と批判した。

 アラスカ州で開かれた米中外交トップによる会談は、冒頭から人権や民主主義を巡る激しい応酬となった。

 米側が新疆ウイグル自治区や香港、台湾などを巡る中国の対応に懸念を表明したのに対し、中国側は、新疆も台湾も「中国の不可分の領土であり、米国の内政干渉に断固反対する」と反論した。

 尖閣を抱える沖縄にとって対立のエスカレートは、火の粉が直接、県民に降りかかることを意味する。

 日本は、韓国との関係改善を図り、多国間協力の枠組みを活用して中国に自制を促す役割を発揮してほしい。

 新型コロナウイルスや気候変動という地球規模の問題では中国との協力関係を維持し、競争と協力のバランスを取ることが重要だ。

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 共同文書には「日米同盟をさらに強化するために能力を向上させる」との、日本の防衛強化を求める文言も盛り込まれた。

 「米国第一」のトランプ前政権では、高価な米国製兵器の爆買いを迫られた。バイデン政権では、ミサイル配備や自衛隊の任務拡大が求められる可能性がある。在日米軍駐留経費(思いやり予算)の負担増も懸念される。

 航空自衛隊は、2プラス2が開催された同じ日、東シナ海で日米共同訓練を実施した、と発表した。

 地域の緊張が高まれば、米軍機の低空飛行訓練など、負担軽減に逆行する動きが活発化するのは明らかだ。

 バイデン政権の日本に対する期待の高さは、南シナ海、東シナ海における軍事バランスが崩れつつあることに対する米国の危機感の表れにほかならない。

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 2プラス2では、沖縄の具体的な基地負担の軽減策は示されなかった。

 普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古の新基地建設問題では「可能な限り早期に建設する」としただけで時期は明示されなかった。一日も早い危険性除去と言いながら、その道筋と達成時期を示すことができなかったのである。

 米中対立の激化によって、戦後、ずっと米軍基地の過重負担に苦しめられてきた沖縄の要塞化が再び進むようなことがあってはならない。相互不信の連鎖を断つ外交努力が必要だ。