那覇市久米の住宅街に店を構えて50年余になる「中野鮮魚・てんぷら店」が老朽化による取り壊しのため、3月いっぱいで店を閉める。てんぷら1本を10円引きの50円で販売する「感謝祭」も始まっている。(写真部・崎浜秀也)

渡嘉敷から移築したという赤瓦屋根の建物で商売を続けてきた

注文を受けた後、次々とてんぷらを揚げる店主の長瀬智子さん=20日、那覇市久米

20210321_中野鮮魚・てんぷら店

渡嘉敷から移築したという赤瓦屋根の建物で商売を続けてきた 注文を受けた後、次々とてんぷらを揚げる店主の長瀬智子さん=20日、那覇市久米 20210321_中野鮮魚・てんぷら店

 初代店主、中野和子さんの長女で、店を継いで7、8年になる2代目店主の長瀬智子さん(61)は、「母は先月、85歳で亡くなった。近所の人たちに支えられて、この地でやってこられた。感謝したい」と話した。

 店は1960年代初めに渡嘉敷村前島から夫の盛彦さん(87)とともに移り住んだ和子さんが始めた。しばらくは鮮魚店だけだったが、盛彦さんの姉が「てんぷら名人」だったことから、てんぷらも一緒に売り始めるとこれが評判を呼んだ。

 渡嘉敷から移築したという趣のある赤瓦屋根の建物で商売を続けてきた。長い間1人で切り盛りしてきた和子さんが脳梗塞で倒れた後は、智子さんが店を守ってきた。「見よう見まね。母は人と接するのが好きだったから店も長続きした」と振り返る。

 店には近所の人たちが頻繁に訪れ、「モズク三つ」「イカ二つ」「ヤサイ一つ」と気軽に注文。昼時に訪れた男性タクシー運転手は「閉まるってねえ。困るねえ」と声を掛けながら「サカナ三つ」。

 智子さん自身は店を継続する思いはあるが、今後についてはまだ決まっていない。「母親も亡くなったので、潮時なのかも…」と複雑な表情も見せた。

 「安くておいしい。長い間ありがとう」。常連客の激励を受けながら、3月末までは休みなく営業を続ける。営業時間は午前11時~午後6時(商品がなくなり次第終了)。問い合わせは電話098(863)2239。