社説

社説[再び時短要請]若者へ情報発信強めよ

2021年3月30日 07:09

 飲食店にとっては「短い春」だった。県独自の緊急事態宣言解除からわずか1カ月、再び時短営業を余儀なくされる。

 新型コロナウイルスの感染が急拡大していることを受け、県は本島中南部20市町村の飲食店などを対象に夜9時までの時短営業を要請した。期間は4月1日から3週間、全面的に応じた事業者には、店舗ごとに84万円の協力金が支払われる。

 玉城デニー知事は29日の記者会見で、「驚異的な速度でリバウンドが起きている。第4波が到来した」と危機感をにじませた。

 27日には宣言解除後最多となる98人の感染が確認されるなど、再拡大が顕著だ。人口10万人当たりの新規感染者数は33・73人となり、宮城県に次いで全国2番目に高い状態が続いている。

 県の分析では感染の中心は20代から40代までの世代で、飲食の場を介し広がっているという。若者から重症化リスクの高い高齢者へと波及すれば、深刻な事態を招きかねない。病床占有率も上昇しており、医療逼迫(ひっぱく)も心配だ。

 もちろん若い人をひとくくりにすることはできない。ただ活動的な世代が感染制御の鍵となるという意識を持ってもらうことは重要だ。

 振り返ればこの1年、遠隔授業やスポーツ・文化活動の制限、外出自粛などで多くの楽しみを奪われてきた。その悩みに耳を傾けた上で、若者の心を動かす言葉が必要だ。自粛を求めるだけでは、行動変容を促すことはできない。

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 新規感染者数の推移を示す棒グラフはジェットコースターのように乱高下を繰り返している。そのたびに対策と緩和のいたちごっこが続く。

 県独自の緊急事態宣言の終了に伴い、飲食店に出されていた時短要請が解除されたのは2月28日。やむを得ないとはいえ、4度目となる時短要請に業界は振り回されている。

 経済的打撃も大きい。時短要請に応じた店舗への1日4万円の協力金も、規模の大きな飲食店にとっては十分とはいえない。

 さらに影響を受ける取引先業者やタクシー会社などへの支援も必要である。

 この間、県は県民の県内旅行に助成するキャンペーンを実施するなど旅行推奨のシグナルを送ってきたが、危機感が薄かったのではないか。

 再び我慢を強いる以上、理解を得るきちんとした説明が必要だ。

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 今回、飲食店などへの時短要請とともに、通院など必要な場合を除き外出を控えるよう要請している。県外からの観光客には、事前の十分な健康観察と感染防止対策の徹底を求めている。

 緩和から対策へ軸足を移そうとしているのは分かるが、お願いベースの要請で人の流れが抑えられるかは、正直未知数だ。

 感染防止に取り組んでいる店舗であることを示す県交付のステッカーの実効性をはじめ、PCR検査の徹底、行動変容対策など、この1年であぶりだされた課題への対応が問われる局面である。

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