社説

社説[首里城火災最終報告] 管理体制一から見直せ

2021年3月31日 07:09

 建築物の構造や施設の管理体制、日常の訓練や関係機関の連携など、さまざまなレベルの問題点が幾重にも重なって火災を拡大させ、正殿などの焼失を防げなかったことが、県の第三者委員会の調査で明らかになった。

 首里城火災を受けて設置された再発防止検討委員会(委員長・阿波連光弁護士)は、最終報告書を県に提出した。

 問題をややこしくしているのは、首里城公園の場合、城郭内と城郭外では公園の設置者が異なるため、設備が連関していないことだ。

 出火当時、首里城公園には警備会社の警備員5人と設備会社の監視員2人の計7人が勤務していた。

 警備員と監視員は、城郭内の国営公園にある中央監視室(モニター室)と、城郭外の首里杜館にある中央監視室、防災センターなど4カ所に配置されていたという。

 モニター室と防災センターで火災情報を自動的に伝達する仕組みはなかった。出火してからしばらくの間、火災に気付かず、仮眠を取っていた監視員もいた。

 指揮命令系統が不明確で警備員および監視員の動きが統率されておらず、城郭内と城郭外の防災設備面の連携が取れていなかった、と報告書は指摘する。

 首里城はもともと建築物の構造上の特性や立地上の制約から、消火活動面で弱点を抱えていた。短時間で火災が広がった大きな要因はそこにある。

 その上に、さまざまなマイナス要因が重なり、延焼拡大を招いてしまったのである。

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 首里城公園は、管理体制も複雑だ。

 正殿などのある城郭内の場合、国が県に管理を許可し、県が沖縄美ら島財団に指定管理を任せ、財団が常駐警備会社、遠隔警備会社、設備会社にそれぞれ業務を委託している。

 管理体制が複雑で、一元化されていないため、責任の所在もあいまいになりがちだ。

 人気のない夜間の消防計画については、施設の整備というハード面だけでなく、要員配置の在り方や教育訓練などソフト面の強化が欠かせない。

 この際、県に提案したいのは、最終報告書の中でも触れられているが、防災センターの機能を一元化し、業務全体を統括する責任者を置くことである。

 消防に電話連絡するのではなく、火災探知時の情報が自動火災通報装置によって瞬時に消防に届く仕組みが不可欠だ。

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 首里城火災の原因については、電気トラブルの可能性が指摘されているものの、消防でも警察でも特定できず、結局、分からずじまいである。

 逆に言えば、検証の手掛かりを残さないほどに跡形もなく焼けてしまった、とも言える。猛烈な炎に包まれ正殿が炎上するあの光景は、今も脳裏に鮮やかである。

 首里城は過去4回焼失し、そのたびに再建してきた。しかし今回ほど、県外の多くの人々の支援に支えられたことはなかった。その期待に応える責任がある。

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