安全保障問題を担当する日米韓3カ国の高官が2日、バイデン政権発足後初めて、米国で対面で協議し、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発への懸念を共有した。

 共同声明は、北朝鮮の非核化に向け「一致団結した協力を通じて問題を解決していく」ことを再確認したという。

 持って回ったような言い方が気になる。「戦後最悪」と評される日韓関係が背景にあるのは確かだ。

 トランプ前政権時代に歴史問題を巡って日韓対立が深まり、3カ国の足並みが乱れた。日韓関係は今も修復されていない。

 日本と韓国がいつまでも角を突き合わせている状態は、新たな北朝鮮政策の策定を進めている米国にとって好ましくないだけでなく、日韓双方にとっても大きなマイナスである。

 注目したいのは、中国福建省アモイで3日、中国の王毅外相と韓国の鄭(チョン)義溶(ウィヨン)外相が会談し、北朝鮮との対話推進による解決を確認したことだ。

 韓国はほぼ同じ時期に「日米韓」と「中韓」の二つの枠組みに同時参加し、それぞれの場で協力を確認したことになる。

 中国としては、韓国を引き込むことによって日米の動きをけん制し、日米韓の結束にくさびを打ち込む狙いがあるのではないか。

 日米韓の結束が崩れれば、北朝鮮に付け入る隙を与えることになりかねない。二股をかける韓国の真意はどこにあるのだろうか。

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 東アジアの安全保障を巡る不安定要因は増える一方だ。最大の懸念材料は米中対立である。

 同盟関係を重視するバイデン米政権は、日米、米韓の2国間同盟や日米韓3カ国の協力関係、「QUAD(クアッド)」と呼ばれる日米豪印4カ国の枠組みを最大限に活用し、中国をけん制する。 

 一方の中国は、対中包囲網を警戒し、韓国に接近しつつ日本にも揺さぶりをかける。

 米中対立の構図を解きほぐすチャンスがないわけではない。米国、中国、日本、韓国が対北朝鮮政策であらためて足並みをそろえ、対話による解決に導くことだ。

 韓国の「二股」はそこに活路を見いだしているのかもしれない。

 バイデン政権下の対北朝鮮政策が近く打ち出されるという。どのような内容になるのか、注目したい。沖縄の基地問題に連動するだけに、人ごとではない。

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 安全保障などの専門家で構成する県の「米軍基地問題に関する万国津梁会議」は、新たな提言を発表した。

 米中の政治的・軍事的対立の激化を踏まえ、日本政府と県に対して「米中の緊張緩和の必要性、沖縄の基地負担の軽減を明確に発信すべき」と指摘する。

 海底に軟弱地盤が広がる辺野古新基地については、技術的・財政的に「唯一の解決策」ではなく「最もあり得ない選択肢」と計画の中止を求める。

 この提言が未来への展望を取り戻す議論の呼び水になることを期待したい。