世界文化遺産の斎場御嶽(セーファウタキ・沖縄県南城市)内にある香炉1基が紛失し、別の石材に取り換えられていることが5日、分かった。南城市教育委員会が発表した。市教委は返却を呼び掛けると同時に、盗難の可能性があるとして、与那原署への被害届提出を準備している。

紛失後、取り替えられた石材部分を定規で示す南城市職員=5日、南城市知念

紛失前の斎場御嶽内の香炉「チョウノハナ」=昨年2月24日撮影(南城市教委提供)

紛失後、取り替えられた石材部分を定規で示す南城市職員=5日、南城市知念 紛失前の斎場御嶽内の香炉「チョウノハナ」=昨年2月24日撮影(南城市教委提供)

■別の石と取り替え

 紛失があったのは、斎場御嶽を象徴する三角岩の奥にある拝所。石の香炉15基が並ぶ「チョウノハナ」を成す1基がなくなり、その部分を埋め合わせるように別の石材二つが置かれていた。香炉は琉球王国時代に設置されたとされ、なくなったものは縦と横が約20センチ、奥行き約10センチの大きさと推測される。

 三角岩内は新型コロナウイルスに伴う休業開けの昨年6月から、「3密」回避のため、立ち入り制限を示す柵が置かれていた。

■最高神女の儀式に

 3月26日夕に見回りをしたガイドが、香炉の異変を発見。当初割れているように見えたという。市教委の調べで、従来あった1基を何者かが抜き取った後、別の石材二つを組み合わせて置いたと判断。営業時間外に持ち去られた可能性が高いとみている。

 ガイドを請け負うアマミキヨ浪漫の会の大城勇会長は「王国時代からの思いがこもった香炉がなくなり、ショック。愛好家か信心深すぎる人の行動か分からないが、計画的であることは間違いない」と語った。

 市教委によると、琉球王国時代の最高神女の就任儀式のたびに香炉が1基ずつ拝所へ置かれ、1875年までに現在の状態となったという。