社説

社説[コロナ感染1万人] 対策の実効性が肝要だ

2021年4月8日 06:10

 沖縄県内の新型コロナウイルス感染者が累計で1万人を超えた。1日ごとの感染者数の推移を見ると、昨年2月に初確認されて以降、感染拡大と小康状態を繰り返してきたことが分かる。

 人口比率でいえば、47都道府県の中でも高い数値を示し続けてきた。10万人当たりの新規感染者数は7日時点で大阪に次いで全国2番目に多い。千人ごとの増加ペースは流行「第4波」にある中、これまでで最速に並ぶ。

 新型コロナ病床の利用率は満杯が迫り、より実効性のある感染防止対策が急務だ。

 流行の第1波から約1年。この間、飲食店などを中心に営業時間短縮の要請と感染リバウンドを繰り返してきた。玉城デニー知事は「この状況を見直す」と話す。蓄積された知見を元に、対策をどう取るのか。

 県は、時短要請している約9千店舗の巡回を始め、十分な対策をしている店に認証ステッカーを与える方針だ。ステッカー制度は昨年8月から始まったものの、店側の自己申告に基づく。実効性が伴っているとは言い難い。

 入店規制や換気の徹底など30~60項目を抜き打ち検査している山梨県のように、一定の効果を上げている事例は積極的に取り入れたい。

 玉城知事は水際対策についても、本土から直行便のある石垣、宮古などの離島空港でのPCR検査体制を構築することも打ち出している。ただ、到着地での任意の検査では抑止効果は十分に見込めない。出発地での検査実施が担保される必要がある。

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 感染拡大を抑える上で「決め手」とされているのがワクチン接種だ。いち早く進む米カリフォルニア州は、経済活動の規制を解除する方針を発表した。マスク着用は引き続き義務付けるが「通常通り経済を再開できる」という。

 一方、日本は供給確保に難渋し、諸外国に比べて後れを取る。政府は、12日から始まる高齢者への接種に必要なワクチンは6月までに供給可能としている。国際的な「争奪戦」の様相を呈する中、見込み通りにいく保証はない。

 東京・八王子市では、電話やインターネットでの予約が殺到し、受け付け開始から約1時間半で上限に達した。河野太郎行政改革担当相は「コンサートのチケットと違い、ワクチンが売り切れることはない」と呼び掛けるが、その言葉がどこまで説得力を持つか。一日でも早い接種を、と願う切実な気持ちをくみ取り、丁寧かつ迅速な対応を求めたい。

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 7日は県内の新規感染者が155人に上り、1日の確認分として過去最多となった。玉城知事は感染状況次第で「さらに強い対策を検討しなければならない」とする一方、政府の観光支援事業「Go To トラベル」再開を見据え、予算増額などの必要性にも言及している。

 経済界への配慮も理解できる。しかし、ブレーキとアクセル両方の発信は、県のスタンスが分かりづらい。「まん延防止等重点措置」が適用されてもおかしくない今、県の明確なメッセージが不可欠だ。

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