住民の健康と安全を軽視したずさんな対応である。

 航空自衛隊那覇基地が2月に起こした泡消火剤流出事故に関して公表した調査結果についてである。

 周辺地域に飛散した泡から、事故当初「含まれていない」としていた有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)やPFOA(ピーホア)などが検出された。しかも、最大で国の暫定指針値を大幅に超える約128倍という高濃度だった。

 PFOS・PFOAの暫定指針値は合計値で1リットル当たり50ナノグラム。同基地内の水路中流で回収した泡消火剤には、PFOSが1リットル当たり3010ナノグラム、PFOAは同3380ナノグラムで合計6390ナノグラムが検出された。

 従来の説明から一転し、「おわびして訂正する」と謝罪したが、あまりの違いにがくぜんとする。

 同基地はPFOSを含まない消火剤に変換した際、配管の洗浄はしておらず、配管内に残留していた成分が流出につながった。

 日本消火装置工業会の指針に「洗浄するとまでは記載されていない」と釈明したが、危機管理の甘さは否めず、住民への配慮を欠く。

 PFOSを巡っては人体への有害性が指摘されており、非含有に入れ替える際には、より慎重にあらゆる危険性を想定して除去する作業が求められるはずだ。

 水路下流では同基地調査で不検出だったPFOSが、那覇市の調査では検出されている。徹底した再調査を求めたい。

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 調査結果の公表はいかにも消極的で疑問符がつく。県や那覇市に結果を通知したが、記者会見は開かなかった。

 事故当時、泡消火剤は国道周辺や近隣の保育園への飛散も確認されている。国道向かいには飲食店や事務所も多く立ち並ぶ。住民の不安を招いたにもかかわらず、不誠実な対応と言わざるを得ない。

 事故原因や再発防止策などを含め正確な情報を伝える責任がある。

 3月には泡消火剤の製造元が発行する文書で、健康への有害性が指摘され、漏出した場合は周辺の立ち入りを禁止するよう明記されていることも判明した。説明は後手に回っている。

 米軍基地と同様に、自衛隊基地内で何が起きているのか県民には知る手段がない。自衛隊は常日頃、運用などについて地元の理解や協力の必要性を強調するが、これでは信頼関係も築けない。

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 井筒俊司航空幕僚長は8日の記者会見で、「近隣住民に心配を掛けてしまい、申し訳なかった」とあらためて謝罪した。作業手順の見直しや施設点検の強化など再発防止に努めるとした。

 県内では米軍基地からのPFOS流出事故も相次いでいる。PFOSは発がん性や、低体重児の出産など子どもの発育への影響も指摘されている。

 泡消火剤は非含有のものに取り換えが進められているが、その確実な実施と進捗(しんちょく)状況を公開する仕組みも必要だろう。