岩永恵さん(44)=うるま市出身(沖縄市在住)=は袖のないウエディングドレスを選んだ。レースのボレロを羽織らなかった。自分で刃を当てた傷痕が手首や腕にいくつもあるが、隠さず式に臨んだ。「これまでつらい思いをしてきたんだね。その記憶は、僕が塗り替える」。新郎の知宏さん(41)=佐賀県出身=が涙ぐんで隣に立った。2月のことだ。(中部報道部・平島夏実)

 恵さんは先天性の骨形成不全症。骨折した状態で生まれ、幼少期はよく転んで骨を折った。高校生活で階段の上り下りが増えて背骨が曲がり、肺を圧迫。短大を卒業後、背骨を元に戻す手術を受けたが、車いす生活になった。

 「実家を出て暮らすだけじゃなく、働いてこそ自立」と考えた恵さんは、福祉事務所のカフェやコールセンターの障がい者枠に挑戦したが、続かなかった。車いす用のトイレが遠くにしかないのに、「早く戻ってきて」と障がいのない人と同じスピード感を求める上司。腰や足がどんなに痛くても勤務シフト変更を言い出しにくい職場。「育ててくれた親の期待に応えなきゃ」という焦り。自傷行為が始まった。...