「満点の演武で、五輪で優勝する」。空手の形男子で代表内定を確実にする喜友名諒(劉衛流龍鳳会)の目標はぶれることがない。五輪延期でできた時間も、佐久本嗣男会長の下で仲間と稽古に励んできた。だからこそ「全ての面で、1年前よりも成長できている」との自負がある。

稽古に汗を流す喜友名諒。「満点の演武で優勝する」と意気込む=那覇市・佐久本空手アカデミー(我喜屋あかね撮影)

 13日、那覇市の佐久本空手アカデミーでの稽古では「アーナン大」「オーハン大」など、劉衛流の形を3本ずつ全力で打ち続けた。ただでさえきつい稽古に新型コロナウイルスの感染防止策でマスクを着けており、肩で息をするほど消耗。だが、佐久本会長は「苦しいと思うが、ここを乗り越えないと染みつかない。どこまで食らいつき、全力で最後の形まで打てるか」とハッパをかけた。

◆五輪本番までのプランは

 五輪本番までの練習計画はこうだ。数日間体に負荷をかけて乳酸をため、徐々に練習量を落とす。これを3回ほど繰り返し、7月には最終調整に入る。「本番の8月6日に合わせて、最高の状態まで持っていく。一日たりとも狂わせられない」と佐久本会長。喜友名自身も「6月中には『これで本番に出ても大丈夫。満点を取れる』と思えるところまで仕上げたい」と意気込む。

 五輪延期が決まってからさまざまなことがあった。国際大会が延期や中止となる中、12月の全日本選手権で史上最多の9連覇を達成。だが直後、新型コロナに感染して療養生活を余儀なくされた。この1年を振り返り、「一日一日を大切に過ごしてきた。精神面でも強くなれた」と語る。持ち味の力強さに加え、技の正確さや粘りも少しずつ身に付けてきた。

◆国内外で3年間負けなし

 3月、試合形式で実施する全空連の選考会に参加した。本番さながらの雰囲気の中、昨年1月のプレミアリーグパリ大会以来、約1年2カ月ぶりに「アーナン大」と「オーハン大」を演武。コーチ陣から「以前よりもかなり良くなっている」と評価されたといい、喜友名自身も「力強さを際立たせるための正確さなど、細かな部分が課題だった。レベルが上がっている」と手応えをつかんだ。

 国内外で約3年間負けなし。不動の世界王者に周囲からの期待も大きいが、「そこまでプレッシャーはかかっていない。応援してくれることがうれしい」と意に介さない。「どの大会よりも一番注目されるのが五輪。自分の空手で、子どもたちや県民に夢や希望を与えられたらいいなと思う」と、真っすぐに五輪のてっぺんを見つめている。(我喜屋あかね)