[琉球から沖縄へ 続よみがえる古里](5) 沖縄タイムス・朝日新聞共同企画

波上宮

 波上宮は那覇市若狭に突き出た断崖の上に立つ神社。創建年代は分かっていないが、首里王府が「琉球八社」の一つに位置付けていた。その全景を写した写真には中央付近に1930(昭和5)年に完成した社務所の建物があり、それ以降に撮影されたとみられる。

 社務所の周辺や石積みの下では、人々がくつろいでいるのが見える。白い上下の服を着た人々、帯を締めた女性、子どもたちの姿も確認できる。

 波上宮付近は沖縄の人々が月見や海水浴を楽しむ憩いの場だった。31年には、「那覇市営波上プール」がオープン。海水を引き入れた長さ25メートル、幅14.8メートルのプールが無料開放された。那覇市泊の自宅から遊びに行ったという仲本将成さん(92)は、「プールは男だけ。『メルマン』(水泳パンツ)をはいて泳いだ。子どもの2倍ぐらいの深さがあった」と回想する。

 波上宮は1890年に沖縄で唯一の官幣小社になり、国家神道のシステムの中で格付けされた。その年から毎年5月17日に例祭「波上祭(なんみんさい)」が開かれ、角力(すもう)大会などがあった。

 戦争が始まると、戦地に赴く若者の「武運長久」を祈願する場所ともなった。仲本さんは、「バンザイ、の後に家族との別れを惜しんでいた」という。(城間有)

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