社説

社説[SACO合意20年]民意無視の強行やめよ

2016年12月3日 09:37

 1995年の米兵による暴行事件をきっかけに設置された日米特別行動委員会(SACO)の最終報告が公表されてから20年が過ぎた。

 負担軽減が進まないのは、米軍普天間飛行場をはじめ11施設という大掛かりな基地移設計画にもかかわらず、地元との事前調整なしに日米両政府の間で決めたからである。

 しかも、県内移設が前提条件となっているからだ。「基地のたらい回し」と当初から言われていたことだ。全面返還が読谷補助飛行場など4施設、部分返還が2施設、返還面積が計454ヘクタールでSACO全体のわずか9%にとどまっていることが示している。

 この間の県民感情の大きな変化もある。例えば海兵隊が沖縄に駐留しているのは、軍事的な理由ではなく、政治的な理由からだ、との趣旨の発言が防衛相を経験したこともある軍事のスペシャリストの口から出てくる。

 米軍基地を沖縄に押し込めているのは、宿命論的な沖縄の地理的優位性などではなく、結局、迷惑施設が自分の家の近くに来るのは絶対に嫌だ、という本土側のNIMBY(Not In My Back Yard=ニンビー)なのである。日米安保による受益は得るが、基地負担は免れたいということだ。

 なぜ、ニンビーが本土側は許され、「これ以上の基地負担は限界だ」という沖縄の声がかき消されるのか。

 基地移設を巡り、「構造的沖縄差別」としかいいようがないことが可視化された20年であるともいえる。

■    ■

 沖縄戦の最中から「銃剣とブルドーザー」で強制接収されて造られた米軍基地は老朽化の時期を迎えている。これらを最新鋭の基地に造り替え、基地機能を強化することがSACOの本質であることもあらわになってきた。

 普天間飛行場の返還は当初、事実上、辺野古沖の撤去可能な海上施設であった。ところが、紆余(うよ)曲折を経て2006年の在日米軍再編計画では滑走路を二つ備えたV字形が明記された。強襲揚陸艦が接岸できる岸壁や弾薬搭載エリアも設置される。

 いずれも普天間にはない機能であり、代替施設とは似て非なるものだ。負担軽減に逆行し、さらに負担が増そうとしている。

 米軍再編で「抑止力の維持・向上」と「沖縄の負担軽減」という相いれない政策を沖縄の中だけで実現しようとしていることにそもそも無理があるのである。

■    ■

 北部訓練場の過半の返還も東村高江集落を取り囲むようにヘリパッド(着陸帯)6カ所の新設が条件になっている。高江ではすでにオスプレイによる被害が出ている。

 返還が負担軽減でないことは、海兵隊の報告書が「51%の使用不可能な土地を返還し、新たな訓練場の新設などで最大限の活用が可能になる」と言っている通りだ。

 SACO合意当時の首相だった故橋本龍太郎氏は基地移設を「地元の頭越しには進めない」ことを守った。問答無用の安倍晋三首相は「敵意に囲まれた基地は機能しない」ことを認識すべきである。

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