[県歯科医師会コラム・歯の長寿学](311)

イラスト・いらすとや

 総入れ歯の作り方について説明します。総入れ歯は基本的に歯のない所に作る入れ歯です。歯が残っていれば自分で噛(か)み合うので顎の位置がわかりますが、歯がないと噛み合う所がわかりにくいのです。そこでよく噛める位置を探すことが重要になります。

 まず顎の型を取りますが、この時、役に立つのが今まで使っていた入れ歯です。なじんでいるので、貴重な情報が詰まっています。噛み合わせの高さ、歯の並び方、入れ歯の形や厚みなど新しい入れ歯を作るための参考になります。合わなくなったり壊れた入れ歯でも捨てないで、入れ歯を作る時に持参してください。持参した入れ歯の複製を作り、新しい入れ歯の参考にします。また、複製の入れ歯を使って顎の型取りをすることで吸着のよい入れ歯が作れます。

 次に上下の入れ歯の噛み合わせの位置を決めるのですが、この時も前の入れ歯の噛み合わせを参考にすると位置を決めやすくなります。また、噛み合わせの位置を調べる時、顎を前後左右に動かしてもらい顎の中心の位置を調べます。そこが一番力がかかり噛みやすい所だからです。しかし、長年の習慣などで微妙にずれることが多いのです。そのため噛み合わせは、蝋(ろう)の入れ歯の土台などで何回も点検します。

 このように噛み合わせがある程度決まると入れ歯の歯を配列します。この時も複製を参考にすると、前の入れ歯との違和感の少ない入れ歯が作れます。前歯は口元がきれいに見える大きさ、位置を考えて並べます。

 また歯の色も若く見えるように白い歯にします。前の入れ歯の歯並びの傾き、凹凸など、欠点を改善して、新しい入れ歯を作ります。新しい入れ歯は、装着した際、当たって痛む所が出てきますので、なじむまで根気よく調整をして初めて噛める入れ歯になります。新しい入れ歯が当たって痛む等で入れ歯を使わないでそのままにしないようにしてください。(前城康一 前城歯科=那覇市)=第3水曜日掲載