元官房副長官の斎藤勁氏が代表理事を務める「勁草(けいそう)塾」の沖縄事務所と沖縄タイムス社は27日、那覇市のタイムスホールで特別講演会を開く。日本総合研究所の寺島実郎会長が「コロナを超えて~東アジアの中での沖縄」をテーマに講演し、玉城デニー知事とも対談する。尖閣諸島や米軍基地の問題などを含め、来年日本復帰50年を迎える沖縄の現状や未来について語る予定。寺島さんに、講演会の狙いなどを聞いた。(聞き手=東京報道部・吉川毅)

尖閣諸島や米軍基地の問題などについて語る寺島実郎さん=9日、都内

 ―今回の講演について。

 「辺野古や米軍基地など沖縄を巡る諸問題を背景に、今回は沖縄、台湾、中国、さらに日米中のトライアングルの関係を視界に入れて語りたい。その切り口が二つある。それは『台湾には米軍基地が一切ないということ』『米国が日本の領有権を認めていない尖閣問題』だ。これらの基盤となるファクトを踏み固めた上で問題の本質をどう考えるか。講演内容はそこに集約される」

 ―台湾を取り上げる理由は。

 「仮に中国が、香港の次は台湾と踏み込んだらどうなるか。台湾海峡で武力衝突が起こり、米国が台湾を支援した場合、沖縄に米軍基地がある日本も自動的に巻き込まれる。日本人の多くは中国との戦争をあり得ないと思っているかもしれないが、集団的自衛権を含め日米の軍事的一体化が進めば日本は戦争に巻き込まれる。望もうが望むまいが、こういう認識を持たないといけない」

 ―寺島さんは、21世紀の日本の国際関係を展望するに当たり、正視せざるを得ないのが「尖閣問題」と言っている。

 「バイデン米大統領は就任の際、菅義偉首相との電話会談で、『尖閣は日米安保の対象』と発言した。これで、尖閣は沖縄の米軍が守ってくれると安堵(あんど)している人もいる。そのためにこそ沖縄に米軍基地があると思う日本人もいるかもしれない。本土の人間はある意味無責任で、辺野古に基地ができることを潜在的な意識の中で許容している節もみられる」

 「しかし、米国は尖閣における日本の施政権は認めるが、領有権ははっきりと認めない“あいまい作戦”を展開している。領有権を認めていない地域の紛争に、若い米兵の血を流してまで肩入れするだろうか。そこに期待するのは国際常識に欠ける。この論点をサンフランシスコ講和条約と国際法理の観点から話すつもりだ」

 ―政府と沖縄の対峙(たいじ)が続く名護市辺野古の新基地建設をどう見るか。

 「政府は、ドイツのようにすべての在日米軍施設をテーブルに載せ、段階的に基地を縮小していくプロセスの中に沖縄を位置付けなければいけない。全国の米軍基地からプライオリティーの高いものに絞っていき、その中で辺野古を捉えることにより新たな展開が期待できる」

 ―来年沖縄は日本復帰50年となる。沖縄の未来についてどう考えるか。

 「琉球王国時代から、沖縄は東アジアの交流の中核だった。米中の対立に引きちぎられず、その接点となってアジアの国際交流拠点になるべきだ。経済的、人的交流においても万国津梁の心を中心に据えなければいけない。玉城知事とさまざまな話をしたい」

 講演会は27日午後6時半から。参加は先着170人で、当日、資料代として500円が必要。申し込みは同事務所、電子メール okinawa@keisoujuku.jp、ファクス098(831)5875。