「領域展開」。お堅そうな内容の本の上に並ぶのは漫画・アニメ好きには聴き慣れたフレーズにあの独特なフォント・・・4月上旬、沖縄県立図書館が発信するTwitterの投稿が私の目に留まった。話題のアニメ「呪術廻戦」が絡んでいる? もしや人気に便乗している? どんな人が企画したんだろう? 気になった私はさっそく話を聞きに行ってみた。(デジタル部・比嘉桃乃)

領域展開・・・?

「『領域展開』の取材をしたいのですが・・・」。恐る恐る電話で尋ねた私に沖縄県立図書館の担当者の仲尾涼子さん(39)はすぐに取材を快諾してくれた。ただ、この「領域展開」は仲尾さんが企画したわけではなく、この春に別の部署に異動した男性職員が企画したらしい。

Twitterでは「領域展開」のタイトルの下に企画した男性職員の思いがつづられていた。

"この展示名を見てピン!と来た方、いらっしゃいませ。某作品が好きな職員TKによるオタク系展示です。" 

某作品とは「呪術廻戦」のことだ。

2018年3月、集英社「週刊少年ジャンプ」で漫画連載がスタートした「呪術廻戦」は、芥見下々(あくたみげげ)さん原作のダークファンタジー。驚異的な身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)が呪術師としての使命を受け、出会いや別れを繰り返しながら「呪い」に立ち向かう仲間と共に成長していく姿を描いている。
今年冬には、登場人物たちの前日譚(たん)を描いたコミックス0巻を映像化した「劇場版 呪術廻戦0」の公開が決定している。

図書館の一角に大きく掲げられた「領域展開」とは呪術廻戦に登場する戦闘技術。術式の最終段階であり、呪術戦の極致だ。これを習得し自在に使いこなせる者はごく限られているそうだ。
(※筆者はまだまだ「呪術廻戦」の勉強中なので表現に不足があればご了承ください)

企画展示の内容を紹介する職員TKさんのメッセージがあまりにも熱すぎたので、ぜひTKさんにもお話をうかがいたいとお願いしたがスケジュールの都合でNGに。代わりに仲尾さんがTKさんの思いも代弁してくれることになった。

沖縄県立図書館。2018年12月15日に新館がオープンした。

仲尾さん自身もこれまで「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」や「鬼滅の刃」にちなんだ企画展示を担当してきたという。沖縄県立図書館の職員の間ではこうしたアニメや漫画、ゲームにちなんだ企画展示のことを「オタク系展示」と呼んでいる。

 

こちらが「領域展開」のコーナーだ。
静かなのもあって、なんだか呪術が飛び出してきそうな怪しい雰囲気・・・。


「これだけは学びたい 書の古典」
「書と風土」
「進化する妖怪文化研究」
コーナーに近づいてみると、普段なら手に取らなさそうな本が並んでいた。

 

「古事記と日本書記の検証」
「日本書記の誕生」
「岐阜県の歴史」
「岐阜県の民話」・・・・
よーく見ていくと、「呪術廻戦」にちなんだ本が並んでいるという。
岐阜は登場人物の一人「宿儺(すくな)」のモデルが、岐阜県飛騨地方の古代の鬼神「両面宿儺(すくな)」なのではないかと言われているそうだ。

企画した職員TKさんのお気に入りは「無限の本質-呪術師との訣別-」。県立図書館のTwitterでは、
"タイトルを見て、これは展示するしかないと感じました。
どの本がどのように関連するのか、楽しみながら考えてみるのはいかがでしょうか”

とつづっている。

仲尾さんによると、こういった展示を始めると普段は手にとってもらえないような本も「あのキャラに関係するのなら読んでみよう」と気軽に借りてくれる人も多いのだとか。
たしかに、私も「呪術廻戦」に絡んでいるなら読んでみたい。
「分かる人にだけ刺さればいいんです。きっかけとか入り口は本当になんでもいい。本をいいなと思ってもらえたらうれしいんです」(仲尾さん)

コロナ禍で図書館への来館者も激減する中、職員たちは今日も試行錯誤を積み重ねながら本の展示を企画している。

「こんなときだからこそ、本を手に取ってもらって家でゆっくり読んでもらいたいですね」

「領域展開」は26日まで。来館する際はマスクの着用を忘れずに。

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仲尾さんは取材の終盤にこんな面白い話をしてくれた。
「実は、沖縄県立図書館では『同人誌』も発行してイベントで配布したこともあるんですよ」

差し出された2冊の「同人誌」

公的な機関が同人誌を発行・・・?気になりすぎる。
「企画したのは『領域展開』を担当したあのTKさんなんです」

「TK」さんの本名は垣花さん。今は沖縄県教育庁にいるという。

垣花さんに取材したい!!!!

仲尾さんにもう一度調整してもらえないかと相談したところ、後日、取材OKとのメールが届いた。
近日中に垣花さんに取材した内容をお届けします。