沖縄県浦添市の特産物の原料となる桑の実が品種改良で5センチとなり、体積にすると在来種の7倍の大きさになった。収穫量は4月中に2トンを見込み、前年度の0・6トンをはるかに上回る。市関係者の10年余にわたる努力が実を結び、桑を使ったジャムや酢、ジュースにリキュール、ワインなど多くの製品の量産化を後押しする。

桑畑を管理する(右から)仲原勇さん、親富祖清満さんと市シルバー人材センターの職員・井上吾一さん=16日、浦添市牧港

(左から)大型化に成功した改良種「宮T17」と大型の在来種、一般的な在来種

桑畑を管理する(右から)仲原勇さん、親富祖清満さんと市シルバー人材センターの職員・井上吾一さん=16日、浦添市牧港 (左から)大型化に成功した改良種「宮T17」と大型の在来種、一般的な在来種

 市は2010年から品種改良に乗り出した。県内在来のシマグワ50種を集め、薬品を使って一つ一つの細胞を大きくする手法で、安定して大きな実がなる改良種を生み出した。

 在来種のシマグワの実は長さ1センチ前後。宮古島の在来種を元にした改良種「宮T17」は5センチで、体積にすると約7倍の大きさ。苗を植えて2年で初の収穫にこぎ着けた。

 糖度は在来種の20~25度に比べ改良種は10~15度と下がったものの、実が大きいため収穫の効率が上がった。一つ一つ手摘みするため、メリットは大きい。

 生産量が増えれば、特産品の量産化や生産コスト削減も図れる。市産業振興課の久貝健悟さんは「木をもっと成長させて、来年はさらに増産できる。販路も広がる」と期待を懸ける。増産に備え収穫や実の洗浄などの機械化も検討している。

 桑畑は市内外に6カ所にあり、市シルバー人材センターの会員2人が中心になって管理している。

 親富祖清満さん(73)=市伊祖=は16日、牧港の桑畑で白い手袋をして桑の実を手摘みで収穫していた。落ちた実は雑菌が付く恐れがあり原料としては使えない。「完熟したものを選んで採っている。丁寧にしないとつぶれたり、実が落ちて汚れてしまう」と慎重に作業していた。

 同僚の仲原勇さん(66)=市西原=は「ジャムやお茶などの製品や桑の実を食べてもらって、おいしいと言ってもらった時に作ってよかったと思う」と丹精込めて育てた木を見つめた。

 市は06年度から、絹織物の特産品開発などを目的に養蚕事業を開始。蚕の餌となる桑の栽培も始めた。実を使った製品のほか、葉を使ったお茶製品を展開している。