市民が選択したのは経済活性化策を前面に打ち出した、現市長の後継者だった。

 うるま市長選で自民、会派おきなわ、公明、無所属の会が推薦した前市議の中村正人氏が初当選した。立民、社大、社民、共産、新しい風・にぬふぁぶしが推薦した沖縄国際大名誉教授の照屋寛之氏を退けた。

 「まん延防止等重点措置」の適用地域に、うるま市も指定されたさなかの異例の選挙戦となった。両候補とも重点政策にコロナ対応を掲げ強く訴えた。

 中村氏は選挙戦で「市民の命と暮らしを守るため、揺るぎない思いでコロナに立ち向かう」と決意を示した。飲食業者への給付金やタクシー事業者への支援など、市に要請し実現につながった、と市議としての実績をアピールした。

 コロナ禍による暮らしへの打撃は大きい。市民は、この苦境を乗り越えるためのかじ取りを6期22年市議を務めた中村氏に託したのである。

 ただ、市の経済状況や雇用情勢は以前から厳しかった。

 2017年度の1人当たり市民所得は187万7千円。改善傾向にあるものの県平均の8割に届かず、県内市町村で下から2番目の低水準だった。有効求人倍率は19年度、県の1・16倍に対して0・70倍と大きく開いている。

 コロナ禍により、弱い立場にある人がさらに苦境にあえいでいる。政策の実行は待ったなしだ。勝利の美酒に酔っている暇はない。

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 1月の宮古島市長選、2月の浦添市長選に続き、再び玉城デニー知事を支える「オール沖縄」系候補と、自民、公明の政権与党が推す候補との対決、という構図となった。

 来年の知事選の前哨戦と位置付けられた三つの市長選は自公の2連勝。県政奪還へ勢いづく。菅義偉首相は中村氏の出発式に応援メッセージを寄せるなど後押しした。

 保守が元々強い地域とはいえ「オール沖縄」勢力にとっては痛手だ。照屋氏は市政刷新を訴え、失業率の改善などを強調したが広く浸透しなかった。旧与那城村出身の玉城デニー知事が積極的にうるま入りし、県政との連携による市政発展を訴えたものの有権者に届かなかったことの影響は小さくない。

 県政与党会派の「おきなわ」が中村氏の推薦に回ったことは今後の波乱要素となる可能性がある。

 次期衆院選、来年の知事選に向け「オール沖縄」は態勢を立て直す必要がある。正念場を迎えている。

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 投票率は過去最低の55・49%だった。コロナの影響もあったとみられる。

 具志川、石川、勝連、与那城の2市2町が合併し、うるま市が誕生して16年になる。

 市全体では人口が増え、特に旧具志川市地域は大型商業施設が開業するなど都市化が進んでいる。一方、旧勝連町や旧与那城町の地域では人口減少が続く。地域間格差の解消が大きな課題だ。

 中村氏には、それぞれの地域の魅力を生かし均衡ある市の発展に取り組んでほしい。具体的な成果が問われる。