沖縄本島南部の女子高校生(当時)を含む少年3人が覚醒剤大麻取締法違反で逮捕されていた事件に関連し、県内の高校生が違法薬物事犯で摘発されていたことが相次いで明らかになった。県警が違法薬物事犯の低年齢化に危機感を抱き「摘発されたのは氷山の一角かもしれない」との指摘もある中、過去に中学時代から薬物を使用していた県内在住の男性2人が26日までに体験を明かし、薬物の怖さを語った。(社会部・矢野悠希)

沖縄で高校生の違法薬物事犯の摘発が相次いでいる(写真はイメージ)

■音楽イベントで

 沖縄本島中部の20代男性は、中学3年生の時、初めて大麻を吸った。音楽が好きで「大麻を吸う海外のラッパーに憧れた」。音楽イベントで出会った人の紹介で大麻をもらった。「吸ってる周りの人たちもみんな普通だった」。大麻を吸い音楽を聴くと「体が包み込まれるような快感」を感じた。

 それからは複数の売人から乾燥大麻を購入した。1グラム当たり6千~7千円。アルバイトの金で買えた。「吸うときは仲間で回し吸いする。仲間内で同じ秘密を共有できることがうれしかった」。ペンションを借りて吸ったり、人気のないビーチで夕日を見ながら大麻を吸ったりした。

 あるとき仲間の1人の様子がおかしいことに気付いた。落ち着きがなく、いら立っている。「お前もやるか?」。覚醒剤を勧められたが断った。閉ざされた仲間内で薬物の使用がエスカレートしていることに怖くなり、仲間と関係を断った。「若い人は大麻を悪いものと思っていない。簡単に手に入るし、知り合いがやってるのを見聞きする」

■俺も1度だけなら

 県外で覚醒剤を使用し2回逮捕された経験のある男性(27)は今、県内のホテルで働く。薬物との関係は中学校3年生で始まった。地元の遊び仲間と「やんちゃの延長」で始めた大麻にはすぐに慣れ、物足りなくなった。高校には通わず、暴力団関係者から覚醒剤を買うようになった。

 ライターであぶって煙を吸ったり、注射器で打ったりした。何でも愉快に感じた。効果が切れると、だるくて体が動かない。「欲しくて、欲しくてたまらない」。

 父親のパスポートを盗んで携帯を契約して売り、金に換えた。母親の結婚指輪やバッグ、家の中で売れるものは全て売った。家族からも見放され、暴力団の事務所で生活するようになった。すぐに警察に捕まった。

 約10カ月いた少年院で成績優秀者に選ばれ「自分は普通の人間に戻れる」と思った。半年後、地元の仲間に「注射打ってよ」と頼まれた。「俺も1度だけなら」と我慢ができなかった。気付けば3日寝ずに覚醒剤を使用。「自分ではどうにもできなかった」。再び捕まった。

 男性は地元と薬物との関わりを断とうと7年前に沖縄に移住。周りには過去のことを伝えていない。もうやらない自信があるか尋ねると、「人は簡単には変われませんよ」と小さく答えた。薬物を断ってから男性はクリスチャンになった。毎朝仕事に行く前、聖書を読んでつぶやく。「今日はしません」