鶏に優しい養鶏業界へ変えたい-。そんな思いから、鶏を地面に放して飼う「平飼い」の卵生産に取り組む人がいる。横浜国立大4年の宮崎将明さん(21)だ。インターンシップ(就業体験)でうるま市の徳森養鶏場を訪れたことをきっかけに、昨年9月から沖縄へ移り住み、同養鶏場の協力を得ながら卵の生産と販売を始めた。

「養鶏業界を変えたい」と平飼いの卵生産に取り組む宮崎将明さん=7日、うるま市内

(資料写真)狭いケージで複数羽を飼育する養鶏場

「養鶏業界を変えたい」と平飼いの卵生産に取り組む宮崎将明さん=7日、うるま市内 (資料写真)狭いケージで複数羽を飼育する養鶏場

 宮崎さんは一昨年3月、食料生産の過程で畜産動物が過酷な環境に置かれていることを本で知り、「畜産の実情を知りたい」と徳森養鶏場をインターンシップで訪れた。

 実際に養鶏場を訪れると、鶏は羽ばたくことや歩き回ることができない狭いケージに複数羽が入った状態で、人間を見るとおびえているようだった。宮崎さんは「想像以上に厳しい環境で、鶏がかわいそうだと改めて思った」と話す。

 養鶏場を経営する経営者に「なぜこんな飼育環境にしているのか」と疑問をぶつけると、「もっと良い環境にしたいとずっと思っている」と、苦しい胸の内が返ってきた。消費者が安い卵を求める中、卵を販売して利益を得るには、効率の良い生産法を選択せざるを得ないという。

 インターンを終え「養鶏の現状を変えるには、利益が出せる仕組みづくりが必要」と感じた宮崎さん。「マーケティングを活用して付加価値の高い卵が生産できれば、平飼いでも利益を上げられるのでは」と考え、養鶏場の経営をマーケティングで支援する会社「Egg Smart(エッグ・スマート)」を昨年7月に起業した。

 現在は大学を休学し、鶏が自由に歩き回れる養鶏場で約120羽を「平飼い」する。1日約100個の卵ができ「うるまの平飼い卵」として、クラウドファンディングを活用しながら販売。宮崎さんの思いに共感した人を中心に、3月の1カ月で135万円以上の売り上げがあった。「平飼い養鶏場の経営は簡単ではないが、実際に成果を出せている」と手応えを感じている。

 平飼いの鶏は人懐っこく、養鶏場の扉を開けると駆け寄ってくる。宮崎さんは「これが本来の鶏の姿だと思う」と目を細める。今後は、マーケティングによる利益化を成功例としてノウハウ化し、県内外の養鶏場に伝えて「平飼いの養鶏場を増やす取り組みを進めたい」と語った。