イノシシを待っていたら、ヤマネコがやって来た-。東京農業大学野生動物学研究室4年の太田昴志(たかゆき)さん(21)がこのほど、調査のため沖縄県竹富町の西表島西部の猟場に設置した定点観測カメラの映像に、イリオモテヤマネコの姿が映り込んでいた。太田さんの映像は、目にした地元の町民も驚かせた。

定点観測カメラに映り込んだイリオモテヤマネコ=1月(太田昴志さん提供)

 太田さんは今年1月にリュウキュウイノシシの生態についての卒業論文作成のために来島。定点カメラをイノシシの通る獣道に設置したが思わぬ“大物”を捉えた。精悍(せいかん)にカメラの前を歩き去って行くヤマネコ。映像を見た太田さんは「鮮明に映っていてとても感動した」と喜んだ。

 イリオモテヤマネコは世界で西表島のみに生息する。国の特別天然記念物で最も絶滅の危険性が高いとされる絶滅危惧IA類に分類。100頭ほどが生息しているとされており、島の食物連鎖の頂点に君臨している。

 町民の思いは深い。4月15日は「イリオモテヤマネコの日」。ヤマネコと人間が共存し地域を発展させることを啓発するため、町が2015年4月15日に条例で制定した。

 ただ、とても大切にされている一方でヤマネコによる家畜の被害があるのも事実。島のある男性は「飼っていたニワトリ30羽ほど全てヤマネコに襲われた。どれも首を切られていた」と嘆く。餌にするのは1羽だが、動くもの全てを襲い殺してしまうのだという。ニワトリは小屋で飼われていたが、覆っていたネットの小さな穴から侵入したようだ。小屋に設置した定点カメラには大きなオスのヤマネコが映し出されていた。また、子ヤギなども被害に遭っているという。

 それでも男性は「ヤマネコは自然豊かな西表島の象徴。世界自然遺産の候補地となったのもヤマネコのおかげだと思う。ありがたい存在」と大切に思う気持ちは変わらない。(前大歩通信員)