沖縄県議会議員、国会議員を対象に実施した憲法アンケートでは、戦争放棄や戦力不保持を定めた憲法9条と自衛隊の存在に関しても考えを聞いた。県議の回答では、自衛隊が憲法9条に違反しているかとの問いには「憲法違反ではない」がわずかに上回った。尖閣諸島周辺で活動を活発化する中国を念頭にした南西諸島への自衛隊配備強化は「反対」が過半となった。一方、米国に日本防衛を、日本には米軍への基地提供を義務付けた日米安保条約の下、沖縄への過重な基地負担の現状には、県議、国会議員の全員が「是正すべき」で一致した。

憲法アンケート2021

自衛隊と憲法

自衛隊配備強化

憲法アンケート2021 自衛隊と憲法 自衛隊配備強化

■憲法9条

 自衛隊を「憲法違反ではない」と答えたのは23人(47・9%)で、「憲法違反」の22人(45・8%)をわずかに上回った。「答えられない」は3人(6・3%)だった。

 野党の沖縄・自民は19人全員が憲法に反していないとし、「国を守る最小限度の防衛力は必要」などと主張。照屋守之氏は「自然災害や緊急事態の対応も含めて重要で、憲法に明記した方がいい」とした。

 憲法違反とした22人は全員与党。崎山嗣幸氏(沖縄・平和)は「自衛隊は必要最小限の『戦力』を逸脱している」と訴えた。

 翁長雄治氏(てぃーだネット)は「答えられない」の立場。「本来の役割からすると、戦力の不保持には抵触しないと考えるが、前政権から現政権にかけて解釈が大幅に塗り替えられ、自衛隊の存在が国民にとって分かりづらくなっている」と指摘した。

「違憲」とした国会議員5人は「戦力に当たる」 

 国会議員9人のうち5人(55・6%)が「憲法違反」、4人(44・4%)が「違反ではない」とし、見解が割れた。

 「違反」と回答したのは国政野党と参院(無所属)の計5人。赤嶺政賢氏(共産)は「自衛隊は世界有数の軍事力を持ち、集団的自衛権の行使も可能な軍隊」と指摘。照屋寛徳氏(社民)も「軍備が増強・増大し、『戦力』になっている」とした。

 「違反ではない」との立場は、自民所属の3人と下地幹郎氏(無所属)。下地氏は「自衛隊は専守防衛の憲法の下で運用されている」と回答。西銘恒三郎氏(自民)は「独立国家としての自衛権を持つのは当然で、自衛隊を軍事力と位置付けるべきだ」とした。

■配備強化

県議は尖閣を踏まえて判断 

 与那国島、石垣島、宮古島などで進む自衛隊基地の新設・増強に対する意見は分かれた。反対が23人(47・9%)、賛成は22人(45・8%)、答えられないは3人(6・3%)。尖閣諸島周辺の情勢などを踏まえた判断が多くを占めた。

 与党で石垣市区選出の次呂久成崇氏(沖縄・平和)は、尖閣諸島周辺の領土や領海の問題について「中国との外交でしか解決できない」と指摘。「武力行使による解決は住民を有事に巻き込む恐れがあり、県内への配備の強化には反対」とした。

 一方、野党の石垣市区選出・大浜一郎氏(沖縄・自民)は配備強化に賛成。「中国の尖閣諸島への圧力は日々増している」と訴えた。

 中立の上原章氏(公明)は「答えられない」の立場で、「外交努力も重ねながら平和裏に行うべきだ。配備は住民の理解が必要だ」とした。

国会議員は「抑止力」をめぐり二分

 自衛隊配備を強化することの賛否は、国会議員9人中、反対5人(55・6%)、賛成4人(44・4%)と意見が分かれた。

 伊波洋一氏(無所属)は「台湾有事を想定するもので、南西諸島を戦場に巻き込む原因となる」と問題視。屋良朝博氏(立憲)は「政府が言う抑止力となるか大いに疑問」とした。

 照屋寛徳氏(社民)と高良鉄美氏(無所属)はともに、外交努力の必要性を説いた。

 賛成した国場幸之助氏(自民)は「南西地域の防衛力強化は極めて重要」と強調。宮崎政久氏(同)は「国民の命とわが国固有の領土を守る抑止力を備える必要がある」と訴えた。

戦力の不保持 9条を明文化

 日本復帰と同時に自衛隊が沖縄へ駐屯を開始してから49年。沖縄戦を経験した県民には根強い反対の声があった。一方、自衛隊は急患搬送や不発弾処理などの活動に力を入れ近年では復帰当時と比べ評価する声が大きくなっている。

 自衛隊について憲法9条では「戦力不保持」を明文化しているが、政府は自衛のための必要最小限度の実力組織で、「戦力」には当たらないとの立場だ。一方、政府は2014年、9条の解釈を見直し、条件を満たせば日本が攻撃を受けていなくても、他国の防衛に当たる集団的自衛権の行使を可能とした。