沖縄の基幹産業である観光業が、かつてない危機に陥っている。

 県文化観光スポーツ部によると、2020年度に沖縄を訪れた観光客は258万3600人で、前年度より72・7%減った。減少幅は過去最大だった。

 順調に伸びていた入域観光客数は、昨年から続く新型コロナウイルス感染拡大の影響により30年余り前の水準に引き戻されたのである。

 外国人客は航空路線やクルーズ船の運休、日本への入国制限などが影響し、復帰後初めて統計上ゼロとなった。

 観光業は宿泊、交通、観光施設、飲食、小売りなど関連産業の裾野が広い。観光客の大幅な落ち込みは、雇用にも深刻な影響をもたらしている。

 20年度の完全失業率の平均は3・6%で6年ぶりに悪化に転じた。コロナ禍に伴う解雇や雇い止めは、把握されているだけで見込みを含め2千人を超えている。

 現在、国内は感染「第4波」のさなかにあり、沖縄観光の先行きは見通せない。

 かき入れ時のゴールデンウイークも観光客の姿はまばらだ。感染力の高い変異種が全国的に広がり、旅行の自粛が呼び掛けられている。県内も15市町が「まん延防止等重点措置」区域に指定されており、予約のキャンセルが相次いだ。4月から休業に入った老舗ホテルもある。

 業界からは「観光インフラは崩壊の危機にあり、息も絶え絶えの状態」と悲鳴が上がる。多くの事業者が窮地に立たされ、企業努力だけでは限界にきている。

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 現在、雇用を支える大きな力となっているのは雇用調整助成金の特例措置だ。政府は原則として5月以降、特例を段階的に縮減する方針を示している。だが措置がなくなれば、何とか踏みとどまっている企業が雇用を維持できなくなる懸念がある。特例措置など雇用支援の継続が必要だ。

 また、現在の感染拡大が落ち着いたとしても完全にゼロにはできない。「ウィズコロナ」を念頭に置いた安全な観光地づくりを考える必要がある。

 政府にはPCR検査の陰性証明書を発行する仕組みづくりに取り組んでほしい。

 ホテル宿泊時に証明書を見せると割引を受けられるような対応があれば、旅行者が積極的に旅行前に検査を受けるようになるはずだ。

 県の「水際対策」にも改善の余地がある。那覇空港で行っているPCR検査の費用を引き下げ、検査を受けやすくしてもらいたい。

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 沖縄観光の再生には「コロナ後」を見据えた新たな戦略が必要だ。

 休暇先で仕事ができる「ワーケーション」は既に取り組みが始まっている。快適な環境をどう整えられるかが鍵だ。自然を満喫できる旅への関心も高まっているとされ、沖縄の優位性が期待できる。

 外国人客の回復には時間がかかるとみられる。逆に言えば今まで海外旅行に目を向けていた国内客を引きつける機会でもある。県と観光業界が連携して新たな需要をつくりだしてほしい。