ミャンマーで国軍による軍事クーデターが発生して3カ月がたった。

 現地の人権団体によると、武力弾圧の犠牲者は750人を超えた。軍政は抗議デモのリーダーを最高刑が死刑の反逆罪に問う構えを見せている。「恐怖による統治」で混迷の度は増す一方だ。

 ここへ来て事態収束を図ろうと、東南アジア諸国連合(ASEAN)が動いた。

 ミャンマーの情勢を協議する臨時首脳会議をインドネシアで開き、暴力の即時停止や平和的解決に向けた全当事者による対話、特使の派遣、人道支援の提供など5項目の合意を柱とした議長声明をまとめた。

 会議には国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官が出席した。一方、軟禁中のアウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)議員らが発足させた挙国一致政府(NUG)は、参加を要請したものの認められなかった。

 合意項目は、拘束された政治家らの扱いには踏み込んでおらず物足りなさを感じる。ミャンマー軍政の最高意思決定機関が、合意項目を国内の安定後に「慎重に検討する」態度にとどめているのも不安だ。今後の交渉は難航が予想される。

 それでも臨時首脳会議を開催したことは一歩前進だと受け止めたい。ASEANは内政不干渉を原則としている。異例の会議開催は域内の不安定化に対する危機感の表れだ。国軍側に議長声明を履行させるため、さらに一歩踏み込んだ対策を求めたい。

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 気掛かりなのは、ミャンマー国内の人々の暮らしだ。

 武力弾圧の激化で、最大都市ヤンゴンでは大規模なデモはほぼ見られなくなった。ただ、軍政を拒否する市民の声は根強く、国軍に抗議するため職務を放棄する「不服従運動」が続いている。

 不服従運動は国軍の統治に打撃を与えられるものの市民生活にも影響は及ぶ。経済活動が停滞していることで失業者が増えているという。

 国連開発計画は、クーデターと新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、来年初めには国民の約半数に当たる2500万人が貧困に直面する恐れがある、と発表した。

 治安当局はこれまでにデモ参加者ら3400人以上を逮捕した。異常事態の中で市民の生活が立ちゆかなくなれば混乱に拍車が掛かる。平和的な抵抗が先鋭化するような事態は何としても食い止めなければならない。

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 日本国内では2日、在日ミャンマー人らがデモ行進して軍政に抗議の意思を示した。県内でも約100人が集まった。

 国際社会は国軍への制裁に慎重な中国とロシアの主張により、足並みをそろえ切れずにいる。

 日本政府は国軍との独自のパイプがあると主張しているが、そのパイプを生かした成果はまだ見えない。逮捕、訴追された日本人フリージャーナリストも解放されていない。日本は国軍に対して従来よりも強い態度で臨むとともに、ASEANの取り組みを後押しすべきだ。