[窪田順生,ITmedia]

 こういう「コロナ慣れ」した人や、危機意識の乏しい企業がいるから、いつまでたっても感染が落ち着かないのだ――なんて感じで怒りのあまり気がヘンになっている方もいらっしゃるのではないか。

 3度目となる緊急事態宣言で政府がテレワークやオンライン授業を企業や大学に要請しているなかで、朝の通勤ラッシュがいつもと変わらない、とマスコミ各社が報じているからだ。

  • 3度目宣言の4都府県、初の平日 遠隔要請も変わらぬ通勤混雑(共同通信 4月26日)
  • 朝のラッシュはいつも通り 薄まる効果「あの時は山手線でも座れた」(朝日新聞 4月26日)
  • 3度目の緊急事態 通勤の混雑「慣れてしもたんやろか」(朝日新聞 4月26日大阪)

 日本生産性本部によれば、1回目の緊急事態宣言が出た5月のテレワーク実施率は31.5%だったが、終了後の7月には20.2%まで低下し、2回目の緊急事態宣言直後の今年1月も22.0%にとどまっている。「ニューノーマル」「ウィズコロナ」なんてバズワードが飛び交っていたわりに、日本企業の働き方はほとんど変わっていない現実があるのだ。

テレワーク実施率(出典:日本生産性本部)

 ただ、そのような厳しい現実はさておき、個人的には通勤する人が減った増えたと騒いで、「自粛の効果がない」なんてあおる報道こそ「自粛」すべきだと考えている。

 確かに、この1年散々議論されてきたように、日本にはコロナ禍でも不要不急の出勤を続ける方がたくさんいらっしゃるのも紛れもない事実だ。工場など製造・生産現場などでテレワークが難しいとか、対面するサービス業などでもないのに、「やはり直接会って話さないと」とかなんとかもっともらしい理由をつけて、会社に出社する「社畜の鏡」のような方が、皆さんの職場にもいるはずだ。

 だが、そういう人たちをマスコミで見せしめにして「危機感がないぞ」なんて批判をしたところで、「通勤者ヘイト」「東京・大阪ヘイト」をあおるだけで、なんの問題解決にもならないからだ。

 緊急事態宣言下でこれだけ通勤する人がいるのは、「コロナ慣れ」「心のゆるみ」などの根性論は一切関係ない。ごくシンプルに「産業構造的に無理」だからだ。