憲法改正の手続きに関する国民投票法改正案が、衆院憲法審査会で賛成多数で修正可決され、今国会で成立する見通しとなった。

 立憲民主党が求めていた、政党のテレビスポットCMやインターネット広告などの規制について、改正案の付則に明記することを与党が受け入れた。

 ただ、付則に盛り込まれたのは「検討を加え、施行後3年をめどに法制上の措置、その他の措置を講じる」との一文だ。具体的なルール作りの議論はこれからとなる。

 改正案は、駅や商業施設でも投票ができる「共通投票所」の導入や、期日前投票時間を弾力的に設定するなど、有権者の利便性の向上を目的とする。

 2018年に自公などが提出したが、政党の資金力によってCMの量に差が出ることで世論に影響を与えかねないとの懸念が拭えず、8国会で継続審議となっていた。

 現行法では、CMは投票前の14日間を除いて規制がない。テレビやラジオの広告・宣言のためにいくら金を使っても構わない仕組みになっている。資金量が豊富な改憲派が有利になるのは明らかだ。投票行動に大きな影響を与える可能性があり、公正・公平性は保てない。

 ネット広告の扱いも課題がある。ネット環境の発達に伴い、テレビ広告費を上回るようになった。法制定時には想定されなかった。相手ごとに内容を変える「ターゲティング広告」やフェイクニュースで投票を誘導する手法は米大統領選などで問題視された。

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 自民党は今後、憲法改正の項目の具体的な議論を進めたいとする。菅義偉首相は3日、改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで、国民投票法改正案について「憲法改正に関する議論を進める最初の一歩」と発言した。

 国民投票の手続きが整うことで改憲議論を加速させたい思惑が透けて見える。

 自民党の下村博文政調会長は改憲派の会合で「日本は今、国難だ。コロナのピンチを逆にチャンスに変えるべきだ」と述べた。新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、緊急事態条項の新設を念頭にしたものとみられるが、コロナに便乗する姿勢は国民感情を逆なでする。

 今優先すべき問題はコロナ対策である。国民の自由と権利を守るのが憲法の根幹だ。課題や懸念を残したままで進めることは許されない。

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 国民主権をうたった憲法は、沖縄代表不在の帝国議会で制定された。

 サンフランシスコ講和条約を批准する臨時国会にも沖縄代表はいなかった。県民は主権者として国会で意思表示する機会が与えられなかったのだ。

 復帰で憲法は適用されたが、施政権と引き換えに基地負担を背負うことになった。

 沖縄では憲法体系より安保体系が優位に立つ場面が少なくない。米軍基地絡みの事件事故では、憲法で保障されている権利が行使できない状態が続く。憲法審査会で、沖縄の基地と憲法を巡る今の現状を取り上げて議論すべきだ。