きょうは5月8日、語呂合わせで「ゴーヤーの日」だ。いまや全国区となった沖縄の食材「ゴーヤー(にがうり)」。沖縄県民は「ゴーヤー」と呼ぶのが一般的だが、全国展開するコンビニや居酒屋では「ゴーヤ」と表記する店もある。全国ニュースでも「ゴーヤ」と呼ばれているのをよく耳にする。沖縄で生まれ育った筆者は語尾を伸ばさないのが気になって仕方がない。「ゴーヤー」と「ゴーヤ」どっちが正しいのだろうか。(デジタル部・比嘉桃乃)

ゴーヤー?ゴーヤ?

検索数は「ゴーヤ」が上位 

「ゴーヤ」の呼び方は一体どんな人たちが使っているんだろう。
Googleトレンドで調べてみた。過去5年分の検索結果では、「ゴーヤー」よりも「ゴーヤ」のほうが圧倒的に検索数が多い。「ゴーヤー」呼びが当たり前の環境で育ってきた筆者としては意外な結果だ。しかも、「ゴーヤ」は毎年7月下旬から8月上旬にかけて急に検索数が伸びている。どうやら「ゴーヤ」の食べ方を検索している人が多いようだ。

青色が「ゴーヤー」、赤色が「ゴーヤ」を示している

では、一体どの地域の人たちが「ゴーヤ」と検索しているのか。調べてみると、沖縄を除くほとんどの地域で「ゴーヤー」よりも「ゴーヤ」が圧倒的に検索されていた。

全国で見ると「ゴーヤ」が圧倒的に検索されていた

セブンも「ゴーヤ」呼び

2019年7月に沖縄への進出を果たしたセブン-イレブン。「ゴーヤーの日」の2日前の5月6日、同社はこんな内容をツイッターに投稿した。

「ゴーヤの季節がやってきました 定番の沖縄料理で旅気分はいかが」

広報担当者に「ゴーヤ」と呼ぶ理由を尋ねると、「特に理由はないんですが・・・初めて指摘を受けました・・・」と戸惑いつつ丁寧に応じてくれた。
担当者によると、首都圏を中心に「ゴーヤ」呼びが広まっていたため、商品名を「ゴーヤチャンプルー」にしたそう。毎年5月8日の「ゴーヤーの日」を意識し、今年も5月上旬に沖縄などをのぞく全国で発売している。ちなみに沖縄で販売していない理由は「沖縄では家庭料理としてよく作られているから」だそうだ。沖縄で販売する際はぜひ「ゴーヤーチャンプルー」でお願いします。
 

「ゴーヤ」呼びの広まりはあれの影響?

なぜ、全国で「ゴーヤ」呼びがここまで広まったのか。
琉球大学名誉教授でNPO沖縄語普及協議会顧問の宮良信詳さん(74)は「日本語の影響ではないか」とみる。
宮良さんによると、沖縄の言葉「ウチナーグチ」には語尾を伸ばす「音引き」があるが、日本語は和語や漢語で構成されており、「音引き」がないのだそう。

「ウチナーグチ」では、語尾を伸ばすか、そうでないかによって、普通名詞が人や物を表すことがある。

例えば、美貌を意味する「ちゅらかーぎ」という言葉。美人は「ちゅらかーぎー」となる。
「ゆんたく(おしゃべり)」は「ゆんたくー(おしゃべりな人)」となる。

物を表す言葉の多くの語尾が伸びている。「とーびーらー(ゴキブリ)」や「はーべーるー(チョウ)」、「シークヮーサー(ヒラミレモン)」などだ。「ゴーヤー」もこの例に当てはまる。

宮良さんは「そもそもウチナーグチや日本語は言葉の背景にある概念が違い、捉え方が違っていても仕方がないと思う。だが、言葉は精神世界を表すもの。言葉の継承という意味では正しく使ってほしい」と願う。

※今回、宮良さんは沖縄本島を中心に話されている「ゴーヤー」について解説しています。沖縄の中でも語尾を伸ばさない「ゴーヤ」呼びがあり、八重山地域ではにがうりのことを「ゴーヤ」と呼びます

沖縄の人たちは「ゴーヤ」呼びをどう見ているのか。

島の言葉「しまくとぅば」の普及を目指すしまくとぅば推進協議会の会長、池原稔さん(60)は「『ゴーヤ』呼びが広がったのはこちらの広報が足りないのも一つ要因」と話しながらも「『ゴーヤ』という言葉を使ってくれるだけでもいいなとは思う。違っててもいいからまずは使ってみてほしい。沖縄の人たちももっと『ゴーヤー』を発信して」と呼びかける。

5月8日の「ゴーヤー」の日に500本限定で地元のゴーヤーを58円で販売する「JAおきなわ中部ファーマーズマーケットちゃんぷる~市場」の店長、喜友名大輔さん(36)は「小さい頃から『ゴーヤー』呼びで育ってきた。東京に出荷するゴーヤーを詰め込んだJAの段ボール箱にも大きく『ゴーヤー』と書かれている。少しずつこの呼び方が広まってほしい」と笑顔で語った。
 

ゴーヤーをPRする喜友名大輔さん=5月7日、沖縄市のJAおきなわ中部ファーマーズマーケットちゃんぷる~市場

SNS上では「ゴーヤー警察」と呼ばれる、「ゴーヤ」呼びを自主的に指摘する人たちもいる。今日は「ゴーヤー」の日。あなたは何と呼びますか。