大注目の沖縄アーティストを沖縄カルチャーの広告塔 幸田悟がインタビューで深掘りする連載企画「幸田悟の沖縄音楽旅行+プラス」第五弾!! 今回は、宮沢和史へのスペシャル・インタビューをお届けします!!

宮沢和史が1年8か月ぶりとなるオリジナル・アルバム『次世界』を2021年1月20日にリリースした。人類を脅かす新型コロナウイルス感染症のパンデミックに陥った2020年、宮沢は時代の変化と向きった。そして、前を向くことで誕生した作品が『次世界』だ。アルバムタイトルの「次世界」は、ジョン・レノンが「イマジン」に込めたメッセージをもう一度、宮沢なりに咀嚼、昇華することで生まれた。いま伝えたい思いとは? イメージしている「次世界」とは? 宮沢和史の内面に迫るスペシャル・インタビュー!!

――世界中がパンデミックで動きが制限された2020年、どのように過ごしていたんですか?

宮沢和史 2020年の2月に沖縄で行なった現代版組踊「肝高の阿麻和利」で歌ったあと、3月に入ると予定してた仕事が一つひとつキャンセルになって、目の前の予定が何にもなくなりました……。僕自身も不安だったんですが、ずっとうずくまっているわけにもいかないので、前向きに生活しなくてはと思い、紙にするべきことを書いて、壁に貼っていったんです。

――例えばどんなことですか?

宮沢 一日一編の詩を書くとか、曲をつくるとか、三線の練習したかった曲をやってみようとか、目標を立ててみました。気分がノッてるときはいいですけど、不安が募ってきたりすると、何もできない日があったり、日めくりの日々でした。それからさらに、新型コロナウイルスの感染者数が増えてきて、だんだんひどくなり、東京から出ることもできなくなった。パンデミックのなかでメッセージすることの難しさを痛感しましたね。「明日が来ることすらも定かじゃないこの状況で、一体何を発したらいいんだろう」と悩みました。それで何も伝えることができなければ音楽家としては負けだし、なんとか絞り出して選んだ言葉……。こんなに言葉と格闘した一年はなかったです。

――緊急事態宣言が発せられた2020年4月以降、スタッフのみなさんとはどんなやりとりがあったんでしょうか?また、その間に書いていた詩とは?

宮沢 コロナ禍になる前は、「新作も出したいよね」なんて話をしてたんですが、4月ごろから音楽業界のなかでは、「まったく先が見えないね」って状況だったんです。詩に関しては、ネガティブでもヘビーでもいいなって思って書き出したんです。その代わり、楽曲になる歌詞に関してはものすごくポジティブに。その両面を内包することで、誠実さも真実味も出てくるだろうし、僕の胸の内も全て伝えられると思いました。詩と歌詞を分けて書いたことは良かったですね。そうしてある程度、形になってきたときに、「これはちょっと世に出したいな」と思えるようになったんです。

――新作を披露したのはいつですか?

宮沢 2020年8月15日、コロナ禍の真っ只中ではありましたけど、大阪服部緑地野外音楽堂で大きいコンサートをしたんです。50%のキャパでスタッフの方々も非常に気を使って、コロナ対策を講じつつの開催でした。そこで「未来飛行士」という曲を初めて披露したんですが、みんなしっかりと受け止めてくれて「これだよ、いま聴きたいのは」という感想を多くいただきました。僕自身のなかでも「やっぱりアルバムという形にしたいな」という感じになっていきました。

――そして、2021年1月20日に1年8ヶ月ぶりとなる待望のオリジナル・アルバム『次世界』をリリースしました。ここで沖縄音楽旅行恒例、アルバム『次世界』全曲解説です