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翁長沖縄知事が就任2年 3つのキーワードで読み解く基地問題

2016年12月10日 09:39

 沖縄県の翁長雄志知事は10日、就任から2年を迎えた。任期の折り返し地点に差し掛かった翁長県政。辺野古新基地建設の阻止が膠着(こうちゃく)する一方、完全失業率や有効求人倍率など、主要な雇用関連指標が大きく改善している。一方、県内は子どもの貧困率が29・9%と全国平均の倍近くに達することが判明し、貧困対策が急務となっている。沖縄振興計画は次年度から後期5年となり、県民所得の向上など住民が豊かさを実感できる県づくりへの手腕が試される。

辺野古違法確認訴訟の第2回口頭弁論を前に、支援者に決意を述べる翁長雄志知事(中央)=2016年8月日午後、那覇市楚辺・城岳公園

1:<4つの訴訟>県上告 最高裁判断に注目

 就任から約10カ月が経過した2015年10月13日、翁長雄志知事は名護市辺野古への新基地建設を阻止するため辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した。「前知事の承認には瑕疵(かし)がある」との理由からだ。以来、国と県は四つの訴訟で争ってきた。

 知事の承認取り消しに対し、国は即座に対抗策に打って出た。翌14日、沖縄防衛局は公有水面埋立法を所管する国土交通相へ審査請求と執行停止を申し立て、国交相は同じ政府機関の申し立てを認め、知事の取り消し効力を停止した。知事の承認取り消しから2週間後には、防衛局は埋め立て工事を再開できる状況になった。10月29日、防衛局は工事に着手した。

 一方、県は執行停止を不服として総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会(係争委)」へ審査を申し出た。

 国の方針に応じない姿勢をみせる翁長知事に対し、国は強権的な手法に出る。11月17日、知事に代わって承認取り消しの撤回を求める代執行訴訟を提起した。 代執行訴訟では、国は知事の新基地建設阻止の意思が固いとし「代執行以外で違法な承認取り消し処分を取り消すことは困難」と主張。県側は「国から独立した行政主体としての判断が尊重されなければならず、国は代執行の前に取り得る手続きを経ていない」と反論した。

 代執行訴訟と並行して、国と県は「抗告訴訟」と「係争委不服訴訟」でも争った。12月24日、係争委は県の審査申し出を却下。これを受け県は翌25日に執行停止決定の取り消しを求める抗告訴訟を那覇地裁に提起。係争委の判断も不服として、訴訟で国の関与取り消しを求めた。

 承認取り消しを巡り訴訟が相次ぐ中、16年1月29日、代執行訴訟の第3回口頭弁論で多見谷寿郎裁判長は和解を勧告。「普天間飛行場の返還について協力して米国と話し合うべきだ」とするA案(根本案)と「訴訟の一方で円満解決に向けた努力をする」としたB案(暫定案)を示し、国と県は3月4日、B案を柱とする案で和解した。

 和解条項に基づき、国は残りの訴訟や防衛局の執行停止申し立てを取り下げる一方、承認取り消しの撤回を求めて県に是正を指示。係争委を経て7月22日、国交相は「是正指示に従わないのは違法」として知事を再び訴えた。

 違法確認訴訟で9月16日、一審・福岡高裁那覇支部は「承認には裁量権の逸脱や乱用はない」と指摘。「承認取り消しは違法であり、是正指示に従って承認取り消しを撤回しないのは違法」と結論付け、県が敗訴した。知事は最高裁へ上告。現在、最高裁が上告と上告受理申し立てを受理するか、注目が集まっている。

2:<2度の訪米>議員らと面談「手応え」

 米軍普天間飛行場の早期返還と名護市辺野古の新基地建設反対を訴えるため、翁長知事は2年間で2回訪米し、辺野古断念を直訴した。

 初の訪米は15年5月。ハワイでデービッド・イゲ州知事、ワシントンでは上下両院議員、シンクタンク研究者、国務省の日本部長ら計15人と面談した。沖縄の基地集中の歴史や過重負担の不平等性などを訴えた知事は「大きな成果があった」と強調した。

 ただ、米国内には辺野古新基地問題は「日本の国内問題」と冷ややかに見る向きが根強く、米側は普天間問題は「決着済み」と従来の姿勢を崩さなかった。

 1年後のことし5月に世界のウチナーンチュ大会のPRで訪米した知事は、連邦議員や研究者ら12人と意見交換。米側から「辺野古が唯一」との言葉が出なかったことに対し、知事が「少しずつ糸がほぐれる思いがした」と述べるように、前年に比べ手応えを感じていた。

 米有力議員のコクラン上院歳出委員長は面談後、「基地を抱える地元の声を直接聞く機会は貴重だった。何ができるか検討したい」と本紙に述べた。元米副大統領で駐日大使を務めたウォルター・モンデール氏は知事との会談で米軍による強制接収の歴史に触れ「大変申し訳ない」と語った。

 知事は、次期米大統領のトランプ氏との会談を希望しており、来年2月にも訪米し、辺野古新基地建設の断念を直訴する考えだ。

3:<国連演説>基地問題を世界へ訴え

 翁長知事は15年9月、スイス・ジュネーブの国連人権理事会に出席し、「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている辺野古の状況を、世界中から関心を持って見てほしい」と演説した。国連演説は知事選時の公約で、日本の都道府県知事としては初めて。世界に向け、沖縄の基地問題の発信を狙った。

 知事は演説で、沖縄の米軍基地は沖縄戦以降に土地を強制接収され、建設されたと歴史を説明。「自ら望んで土地を提供したことはない」と、沖縄の人たちの意思に関係なく、基地が存在する不条理を訴えた。

 また、国土面積の0・6%の沖縄に在日米軍専用施設の73・8%が集中するため、事件・事故環境問題など、県民生活に大きな影響を与えると指摘。「沖縄の人々の自己決定権や人権はないがしろにされている」と理解を求めた。

沖縄県知事 翁長雄志の「言葉」

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