「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が世界自然遺産に登録される見通しとなった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関「国際自然保護連合(IUCN)」が勧告した。登録されると、国内5件目となる。

 沖縄の誇る宝が世界の宝になることを県民と共に喜びたい。

 推薦区域の総面積は、4万2698ヘクタール。候補地の4島には、国の特別天然記念物アマミノクロウサギ(奄美大島・徳之島)、イリオモテヤマネコ(西表島)、ヤンバルクイナ(本島北部)など希少種が生息する。絶滅危惧種は95種、固有種は75種に上る。

 IUCNは、勧告文書で4島を「国際的にも希少な固有種に代表される生物多様性の保全に重要な地域」と高く評価した。

 今回が2度目の挑戦だ。3年前は、推薦区域が24カ所に分断されていたことから、「生態系の連続性が分断されている」と指摘され、登録延期となっていた。

 米軍北部訓練場の返還地を推薦区域に追加する一体化を図り、本島北部だけで11カ所に分かれていた区域を一つにまとめた。また、地域ごとの観光利用計画を策定し、利用ルールを作り、改善を進めた。

 国、県、地元が連携して取り組んだ労をねぎらいたい。

コロナ禍にあって、地域振興につながる明るいニュースだけに関係者の喜びは大きい。

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 隣接する米軍基地になんの規制もかけないで、生態系を守ることができるのか懸念が残る。

 北部訓練場跡地からは引き渡し後、空包類約1万5千発、大型鉄板261枚のほか、放射性物質を含む有害物質が相次いで見つかっている。

 米軍の運用が優先されたため推薦区域は、訓練場を取り囲むようないびつな形となっている。

 米軍基地は返還されることが望ましいが、最低限、訓練が野生生物に影響を与えないよう、県と国は共同管理を米軍に求めるべきだ。

 IUCNは、観光客増加によるオーバーユース(過剰利用)や希少種の交通事故対策、森林伐採を緩衝地帯内に限るなど対応も要請している。

 そのため特に観光客の収容能力が心配される西表島では、入島者について、県が年間33万人を努力目標に設定している。竹富町ではツアーで河川や山に立ち入る人数制限を行う予定だ。登録後は、年間50万人が訪れると試算するが、人数を抑える具体策は、これからの課題となる。

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 かけがえのない自然遺産を次代にどう引き継ぐか。

 希少生物や生態系からの「学び」を伝えるガイドの育成も急務だ。

 やんばるの森は、車も容易に入れる林道が多いためヤンバルクイナなどがひかれる事故が後を絶たない。

 希少種の密猟など悪質な行為も見られる。ペットを捨てたり、外来種を放すなどの行為は生態系の破壊につながる。

 県民一人一人には、登録によって自然を守る責務が生じる。