陸上自衛隊の宮古島駐屯地配備(沖縄県)を巡る贈収賄事件は、贈賄側の公訴時効(3年)が12日後に迫る中、立件にこぎつけた。直前での逮捕に県警幹部は「あくまでも逮捕の必要性があると判断し、このタイミングとなった」としつつも、「確かに迫っていた」と語った。

宮古島市の千代田カントリークラブ跡地に整備された陸上自衛隊の宮古島駐屯地=2019年6月16日(小型無人機で撮影)

陸自駐屯地が建設される前の千代田カントリークラブ=2017年4月24日、宮古島市上野野原(小型無人機から)

宮古島市の千代田カントリークラブ跡地に整備された陸上自衛隊の宮古島駐屯地=2019年6月16日(小型無人機で撮影) 陸自駐屯地が建設される前の千代田カントリークラブ=2017年4月24日、宮古島市上野野原(小型無人機から)

 贈収賄の疑惑は、配備計画中の2016~17年当時から、一部の地元関係者の間で持ち上がっていた。「現職市長の逮捕」となれば捜査当局にとってハードルが高く、「今年の市長選で落選したタイミングをみて、逮捕に踏み切ったのだろう」(県警関係者)の見方がある。

 当時市長だった下地敏彦容疑者にどのような職務権限があったのかも焦点の一つ。県警関係者は「一般的に、大規模な土地利用計画に対し、地元首長の意向は無視できない。基地配備であれば、地元の理解を得たい防衛省にとって、ある程度首長の意向を受け入れる、というのは当然あったと考えられる」と解説する。

 県警はこうした地方自治法に基づく首長の「受け入れ表明」を職務権限として捉え、収賄容疑が適用できると判断した。

■金銭の授受否定

 県警捜査2課が12日、贈賄の疑いで逮捕した下地藤康容疑者(64)は逮捕前の4月30日、本紙取材に「下地敏彦前市長に金を渡したことはない」と答え、金銭の授受を否定していた。主なやりとりは次の通り。

 ――千代田カントリークラブを巡り、警察から事情聴取されているか。
 「2カ月くらい前に警察から話を聞きたいと電話があったが、断った。それ以来、連絡はない」

 ――この件で前市長へ金銭を渡したことはあるか。
 「渡したことはない。もう勘弁して」

■千代田「波及効果大きい」

 宮古島市への陸自配備を巡る下地敏彦前市長のこれまでの主な発言は次の通り。

 2016年6月 市議会で「自衛隊の配備については了解する」と受け入れを表明。大福牧場周辺への配備は「水道水源への影響はないと言い切れない。施設建設は認めない」。千代田カントリークラブへの配備は「最終的に法律に適合するかどうかで判断する」

 同8月 市民団体からの要請で、千代田への配備について「市民の代表である議員をはじめ地権者の意向や市民の意見を参考に、総合的に判断する」

 同9月 15年1月に千代田配備を防衛省に提案したことを市議会で認め「社会基盤の整備、経済関連の波及効果が大きくなる」

 19年3月 部隊新設式で「災害に強く、安全・安心な島づくりに向け、共に手を取り合い歩むことを期待している」