官公庁や民間企業が立ち並ぶ那覇市久茂地の旧県教育会館1階で、46年間続く沖縄家庭料理の店「まんじゅまい」(冨永實憲(じつのり)店主)が、同会館の老朽化に伴う取り壊しのため、20日で閉店する。半世紀近くにわたり、多くの地元客や観光客の胃袋を満たしてきた老舗の大衆食堂。営業再開を見据えて移転先を探すが場所は決まっておらず、自慢の味を残すための挑戦が続いている。(社会部・砂川孫優)

沖縄家庭料理の店「まんじゅまい」を46年間続け営業を終える冨永實憲店主と妻のユキ子さん(右から)=16日、那覇市久茂地

 「まんじゅまい」は石垣島の言葉で「パパイア」の意味。健康長寿の食材として縁起物のパパイアを店名に1975年、石垣市出身の店主、實憲さん(73)と粟国村出身の妻、ユキ子さん(71)がオープンさせた。国際通りの裏通りにある店ののれんをくぐると、店内にはこれまで訪れた芸能人やスポーツ選手らが書いたサイン色紙が張られている。

 メニューは62種類と大衆食堂ならではの多さ。沖縄そばのほか、にがりに海水を使用する自家製のゆし豆腐、ナーベーラー(ヘチマ)チャンプルーもリピーターが多く、庶民的な味で人気を集める。

 實憲さんは石垣中学校卒業後、同級生3人と「稼ぎ」を求めて石垣島から那覇に渡った。那覇市公設市場の近くで住み込みで働いた総菜屋で料理の世界と出会った。その後は那覇市内のホテルレストランや日本料理店などで腕を磨いた後、現在の店を開いた。

 当初は「高級」を売りにし、洋食をメインに提供したが客足が伸びなかった。市内の繁盛店を巡ると多くが大衆食堂で、県民が気軽に入りやすく安い店を求めていることに気付いた。

 オープン半年で店を刷新。沖縄の家庭料理を中心に、客のニーズも取り入れながら新メニューも増やした。価格は消費税が5%に引き上げられた1997年から変えていない。

 夜は週2回、八重山や沖縄民謡の島唄ライブを開催していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になり「以前の活気は消えた」と声を落とす。

 時短営業を続けていたが入居建物の取り壊しに伴い退去を余儀なくされた。閉店を控えた實憲さんは「多くの客に支えてもらった46年」と感謝。再開のめどは立っていないが、現在は移転先を探している。「新しい場所が見つかればまた皆さんに会えるよう再挑戦したい。私の青春はまだ終わらないよ」と笑顔で語った。